私の周りには優しい人が多い。

 目線が優しい、座り方が優しい、声が優しい、匂いが優しい。


 半分犬化している私は匂いと音でいろんものを判断する。あと、眉間にある大きな目(ぽっこり飛び出ているの!)で見てる感じ。そうやって入ってきた情報は色とか味とか音楽になって脳内に収納されていく。(誰でもそうすると思っていたけど、かなり変な記憶方法らしいね、これ。)


 電車に乗ると、時々周りの人の声の色が腐りかけのトマトの味みたいだったり、湿気で乾かないペンキの匂いだったりして、そういう時はとってもしんどい。だから、大阪環状線は苦手。


 でもいいこともたくさんあって、恋人同士の会話がピーチホワイトチョコの味と香りがしたり、スマホで仕事をしているっぽい人が小松菜サラダみたいにシャキッと感じるときもある。


 特に良いのが、子供の香り。声だけで、ぱちぱちキャンディーだし、もう赤ちゃんなんてあんた、存在が桃まんじゅう(あんこ抜き)な感じ。ママなんて、しっとりした黄金糖みたいな声の人がいるし、こちらまで幸せになるんだよー。


 すんまへん。ワケわからん世界よね、これ。


 最大の問題はね…人を名前や肩書きで覚えられない。これ、最悪っちゃ。一生懸命メモとって肩書き、風貌、髪型を、記録する。


 その代わり私が感じるのは、

・この人堅焼き煎餅みたいやな。とか、

・この人、味の抜けたらくがん(お盆の白いおやつね)やな。とか、

・この人、安いザーサイみたいや。とか、

・この人、あかん…食べたい。とか、



 他者の性格が別の物体に変化したり音楽で聞こえたり、いろいろ。それは一瞬サーッと脳内に流れて記憶して、いずれはそれも消えて最後は音量と匂いだけが残って、快適な人、そうでない人、惚れそうな人、消える人、この辺りの脳内のあやふやな個室に収納されていく。


 あまりにしんどいときにはサングラスとかマスクとかして、物理的に遮断するしかないけど、窓から風が入ってたり、友人がとなりにいれば、その人の優しい光のなかにすっぽり入って平気です。


 でも最強はやっぱり完全無垢な、この存在(👇️)。この匂いを持ち歩きたい。


・名を呼んで首を舐められ脚からめ抱き合う朝の薫る肉球



(そうじゃろ、そうじゃろ)


 そして、優しい人の短歌はそれを詠むだけでその光のなかにすっぽり入って、まるでお守りね。江戸雪さんの「Door」って歌集とか、俵万智さんの「プーさんの鼻」とかがそう。ありがとうございます😊


ではまたね👋

今、ここが天国。