6月15日のブログで書いた、ブルーだった私の親しい人が最近やっと復活してきた。そのきっかけは、な、な、なんと短歌だった。これびっくりじゃ、あーりませんか?
たまたま一緒に電車に乗ってて勉強熱心な坊さんは電車の席でもずっとこの本↓
を読んでいたんだけれど、隣で全く短歌に興味のない友人はぼーっとしていたので、「どうよ、この歌?」と下の短歌を友人に見せると、最初はふーんと言う顔をしていまいち意味がわかっていない様子。
・ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は /穂村弘
なので、私がこの人は泣くとか泣かないとか言う感情を飛び越えて涙が溢れてたんじゃない、とか、たまたま冷蔵庫パカッと開けた時に、涙が急に溢れ出て、どんな気持ちなんだろうね、などと話していると、急に友人はハッとした顔で納得した様子。「あ、独り暮らし用の冷蔵庫だ、これ…」と。
その後、他の歌人の短歌もちらちらと紹介していると、案外はまっている感じだったので、同じ本を送ってあげることにした。
友人は仕事のことでかなり悩んでいて、不眠や食欲不振に苦しんでいたところへ、私との個人的な価値観の衝突で、さらにダブルパンチを加えてしまって、うつ状態になりかけていた。
もう、これ以上痛め付けられると、どこか行ってしまうんじゃないか、と思う位落ち込んでいたので(そもそも私が原因かもしれないけど)どうにかしてあげたいけど、どうにもできない悔しさと悲しさと腹立たしさで、私もかなりブルーだったけど、短歌がまさか、こんなにこの人に刺さるとは正直驚きだった。
せっかくなので、私が短歌を始めるきっかけになった萩原慎一郎さんの歌集「滑走路」も一緒に送ってあげることにした。後日友人の自宅に届いた本をどうやら友人はあっという間に読んでしまったらしい。
特に萩原さんの歌集の中の歌の数々は、今まさに仕事で苦しんでいる友人の心に、土砂降りの雨のように降り注いだようで、それはそれは心を動かされたと後から聞いた。
・ぼくたちのこころは揺れる 揺れるのだ だから舵取り持続するのだ /萩原慎一郎
どうしても1人で暮らしていて、毎日睡眠時間がどんどん減ってしまって、四角四面の人間たちが働く職場で生きていると、考え方が一方通行の道路のように融通が利かなくなっていく。
友人自身を苦しめていたのは、案外友人自身が生み出していた「こうあらねばならない」と言う無言の鎖だった気がする。イノシシのような私はそんな鎖は最初から体当たりするし。(そしてさらに暴れまくる。)仕方ないっちゃ。ぶひ。
そういった、どうにもならない状況そのものを一まとめに、あるがまま受け入れる姿勢を、短歌は教えてくれたような気がする。
今はすっかり短歌の勉強にお熱をあげている友人はその後送った、もう一つの心の花のテキスト(左)↓
これをなんと1日で読破。さらに本の中で紹介されている短歌の美しいフレーズをノートに書き写しているという真面目さ。(ワレには、ありえない)
もうちょっと気軽に行こうよ。楽しくやればいいじゃん…と言いながらほんの少し先輩なペーペー歌詠みの私が、さらさらと偉そうに添削すれば、その歌たちをえらく感動して、さらに勉強を深めている友よ。感心するよ、ほんまに。
短歌の神様、友人を闇から救っていただき本当にありがとうございます。私はお礼として、短歌の神様の下僕として働くことを誓います。なので、代わりに短歌の飲み会に友人が首を突っ込んでこないよう、私をお守りください。たのんまっ。
・きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい /萩原慎一郎
じゃあまたね👋
今、ここが天国