その1分間のショートムービーはある時突然、頭ん中に流れてね。泣いてしもーた。始めてやったな、五感に残る現実でも夢でもない映像。
東京に住んどったときに、地元のオーケストラコンサートに行って、開演前にうとうとしててさ。照明は微妙に暗くて、客席はまだ行ったり来たりする人の話し声でざわざわしててね、ふかふかのシートに沈みこんで目を閉じとったんよね。
寝てるわけじゃなくて、ちょうど電車に乗ってるときみたいな感じ。意識はほぼスイッチオフで、車内アナウンスは聞こえてる、ってあんな感じのとき。コンサートホールのざわめきと混じって、もう一つ別のザワザワが聞こえてきてな。そっちのザワザワがどんどん大きくなって、人が走り回る音がしたあと、じゃらじゃら金属のぶつかる音がするわけ。
そのムービーのなかで私は身長ほどもある白壁で囲まれた、どこかの庭の隅にだんだん追い込まれていっているのね。金属のヨロイの音が大きくなる中で、ジャリ、ジャリ、って音たてて土の地面を後ずさりしているサンダルは足に食い込んでて。私の後ろと壁との間に10人弱かな…それぐらいの子供たちを挟んで、左手を横に出して飛び出さないようにその子らを守ってるのね。生成り色にくたびれた洋服着てたから、日本じゃなかった。
次の瞬間、頭の中で「******、この子らには指一本触れさせはせん!」って私、叫んでね(日本語で)、左の腰元から右手で長い重い剣をシャリンと引き抜いて振り上げた(重かったー!)、そしたらザスッ!て音と同時に相手の剣が先に振り下ろされたの(痛くなかった!)、と同時に意識がはっと戻って、元のホールにいた。(セリフの****は、秘密な、ごめんね)
あまりにもリアルな剣の重さと、自分の叫んだ声、左手で守っていた子供たちの体温、そして金属の音がさっき聞いたみたに耳に響いてさ、ぼーっとしながら、急に涙がだーだー流れるわけ。もう、わけ分かんないよね。5分ほど呆然としてたかな、しばらくして涙が止まって普通にコンサート聴いてその日は帰った。そのあと、すごい出会いがあったのよ。
久々に学生時代の友人が連絡してきてさ、ランチしよって言うから出掛けたの。彼女の恋バナ聞いて、こっちの育児の話とかしてわいわいやってたら彼女が面白い話をした。最近、恋愛相談のつもりで霊能者に会ったと。そりゃ偽物…と思いつつ笑顔で聞いていた。ところが、彼女の話は実に信憑性が高く、数分後にはすでに私はその女性霊能者の連絡先をゲットしていた。ついでに料金も。30分で5,000円ぐらいだったはず。
その手の人、ほとんど偽物と知ってたから、まあ面白半分で会ってみようってそんなノリよね。で、あちらさんと都内のカフェでちょこっと挨拶をしたあと、すぐに霊視が始まった。
眉間の間のどこかを見てる彼女(怪しいのぉ、と思う私)。彼女「何かまず質問はありますか?」「あの、前世のことを聞きたいんですけど…私、剣で切られてますよね?」「(10秒ほどの沈黙、眉間の視線)ええ、今見えるのはヨーロッパのそうだな…ちょっと海に近い素朴な街並みが見えて…ああ、切られてますね、後ろに子供たちを守りながら」
坊の心の声
(「ええーーーーっ!!!わたすぃー子供守ったムービー見たとか、外国だったとかー、一言もこの人に、言ってないーー」)
で平気な振りをして私は続ける。「ああ、そうですか、やっぱり。この間そんな夢を見まして」「そうだったんですかー。えーっと…(眉間視線)前世で坊さん、旦那さんと息子さんを戦争に出して失くされて、もう跡継ぎもいないからって義父母に街に半ば放り出されたんですよね、それでそのあと苦労されて、でも町にいたおなかが空いた子を集めては孤児院みたいなことをしていたみたいです…」
こいつ、本物や。私はぞわぞわした。やっぱり本物はいる。いるのだ。
でもね、99%この手の人は偽物ということもお忘れなく。変な物品とか法外な値段で押し付けるやつは偽物だと思う。そして、もう一つ言えることは、何か強い欲を持ってこちらが望んだ場合、やはり強い欲を持った(真偽を問わず)霊能者や、低俗な交信しかできない変な霊能者をつかまされる。ひどいときには、低俗なのを憑依させられてぼったくられるから(でた!奇人発言)気を付けよう。ほんまに。
たまたま、こうして予期せぬ流れに沿って会うことになった人だったから、良かったのだろうと思う。あと、偽物でもまあ高級ランチ一回分だし~と気にしてなかった坊さんの豪快さ(自分で言うか?)も幸いしたと思う。
この後、この方からは当時育てていた長女のことも、衝撃的なことを言われたのだけど、それはまた後日お話ししますね。
そうそう、孤児院をやってて切られたという私(もうすっかり信じている)、今生ではやっぱり保育士になりました。育児が終わってからのことだけどね。そして、今生の義父母はとてもとても優しく、決して私を街に放り出すよう人ではありません。苦労して良かった、と前世の切られた私に感謝しているのでした。一つ心残りは、その霊能者の人の連絡先を失くしてしまったこと。
大切なことは聞いたんだから、ま、いっか。
ではまたね👋
今、ここが天国。
*私の経験を書いているだけで、こういう世界が本当にあるかは証明できましぇん。ただの奇人の妄想と思ってもいいです。