第12回毎月短歌 現代語連作部門の結果発表しますよ~。 


デパ地下なみに、おいしい作品がたくさんでした! 相聞、家族の問題、深層心理、イメージの世界などを詠ったありとあらゆる作品があり、昨日、心の花賞予選敗退を知った私のこころは一気に華やぎました。


応募してくださった方、ありがとうございます!! では、選考基準を先に述べさせてもらいますね。


 1 その人なりの世界観があること。 作者のカラーが見えること。 


2 ストーリーや風景が立ち上がること(事実を詠った場合)。または、3 


3 イメージの世界を詩にしたとしたら、自分の使いこなせる言葉で詠っているか。


 4 その言葉の選択で、意図が伝わるか。または伝えないという意思が伝わるか。 


5 比喩や記号、文字空けなど修辞に偏りがないか。


6 リズム、調べを意識しているか。 


7 一首としてどうにかでも立っている歌で構成されているか。 


などなど、いろいろありますが、心の花賞予選落ちの私が偉そうに言い出したらきりがないので、この辺で賞の発表に移らせていただきます。


なお、賞の名称は各連作の歌の言葉からいきみつつ産みだしました。


 なお、選評の中で作品から何首か引いてもいいのですが… やっぱりみんな、歌は大事にせなあかん👿大事、大事。


どこで連作に使うかわからんから、あえて一部だけ引用しますから、あとで、「ドヤこの歌やで」って言いたかったら、ご自身のSNSなりで堂々発表してください。



 一の坊 カレー屋の星空賞 

 「スターソルジャー」 汐留ライス さん


 二の坊 歩道橋のジャンプ傘賞 

 「都会では」 短歌パンダ さん 


三の坊 てんとう虫の筆箱賞 

 「ものとも」 早瀬 さん 


一の坊、汐留ライスさんの作品…いきなりのシュビドゥバの世界で何が始まるのかと思いきや、妻と娘の深刻らしいストーリーが見え隠れする連作でした。実はとてもシリアスかもしれないシーンを描いているにもかかわらず、最後まで一貫してシュビドゥバの世界観を崩すことなく一気に読ませる言葉の軽快さと、テンポの良さで断トツの一の坊でした。


この乾いた感じと実は地下水脈が流れている感じ、これはどこから生まれるのでしょう。頭の中を覗いてみたくなりました。エルビスあたりでいったんくるりと視点をずらしつつも最後に幸せな記憶に着地するあたり、素晴らしい作品でした。おめでとうございます!

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 二の坊、短歌パンダさんの作品…笹舟から始まる切ない相聞でした。なんだか雨の日の外のテラスのパラソルの下で、レモンシャーベットを一人食べるようなさみしさがしっとりと作品全体に流れていて、駅名に~と、みて~から始まる二首の心理描写が際立つような情景描写の歌がとてもバランスよく配置されていると思いました。 後ろにBGMが流れそうな色調の美しさが抜群です。


語り掛ける口調の歌が時々出てくるので、読み手としてもその場を疑似体験しているような感覚に陥りつつ、感情をぐっと抑えて語る叙景歌あたり、素晴らしいと思いました。おめでとうございます!

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 三の坊、早瀬さんの作品…筆箱の歌とか、イヤホンの歌など、二物衝突のぎりぎりを攻めてきた表現に驚きました。飛躍しているんだけど、歌の意味がぎりぎり通じる、そのぎりぎりを迷わず攻め続けたエリアでは一番の表現者だったように思います。


本当は生きることとか、幸福とか真理に近いことを考えているにも関わらず、歌の中で使われる電線、白衣、サイダーといった自身が使いこなせるであろう単語を駆使して、心の中の詩的な世界へ連れて行ってくれました。先輩、との相聞なのでしょうか?そうだったらうれしいです。 

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あと、一から三の坊には惜しくも入室できませんでしたが、寺の秀作3つを紹介します。 


寺の保育士賞・・・「約束」梅雨すみれ さん

 具体的な場面ははっきり読み取れるのですが、ジェリーになりたい理由などストーリーが立ち上がるともっとおいしくなる! 


寺の挑戦者賞・・・「欠陥。」畳川鷺々さん

上の句と下の句のギャップ、下の句の言葉の個性と味が独特!これだけでずっと貫くか、それとも散文的な歌を入れるのか、長い連作になったところを見てみたい作品でした。 


寺の花束賞・・・「骨は白い、骨が白い」10さん

悲しい記憶は時間がたてばたつほど感情のとげが抜けていっていい歌になるので、この題材は大切にしてください。二首目、心に響きました。 


おまとめ 


どの連作も〇のつく作品が一首はたいがいあるのですが、やはり連作ですので、ほかの歌とのかかわりあい、全体のバランス、ストーリ構成または詩的世界観、そういったものまで細かく細部に網の目のように張られたものを選ぶとなると上記作品になりました。


いい歌ばかり並べてもよい連作にならないし、情と景のバランスが一首の中だけでなく、全体の連作の中でもバランスがいるわけで、それがうまくいかないと、私のように予選で敗退するわけです。(心の花に嫌味を言っているわけでは決してありません。) 


だからこそ、まず最初は一首一首をきちんと詠めるようになってから。目の前の風景をちょっと詩的に詠めるようになってから、詠まないとやはり私のように予選敗退するわけです。(しつこい?)


 それと、タイトルってすごく大切だなぁとしみじみ思いました。歌の中から持ってこないのであれば、どうしてそのタイトルにしたのかっていうメッセージが伝わってこないと、??が残るわけで…だからこそきちんとしたタイトルをつけたにもかかわらず、それでも予選敗退した私が何を言っても説得力はありませんがね。(もうこれ以上は言いません。) 







最後に、歌歴の短い、まだ未熟な私にこのようなお役を与えてくださってありがとうございました。そして楽しい作品を送ってきてくださったみなさん、ありがとうございました。おかげで、昨日の落選のブルーは一気に満天の星空でございます。ありがとう! ありがとう!


ではまたね 👋

今ここが天国。