私もご多分に漏れず朝マックしようと出張前に寄ったりすのだが、たまに隣席から「ソーセージエッグマフィンって好き」って耳に入ってくるように、俺「ビル・エヴァンスって最高!」って聞こえたりすると、それはどこのどいつだとばかりに声の主の方を向いてしまう。まして可愛い女性の声と分かると興味も倍増し、何とかその会話に入り込もうとそのタイミングを図ろうとする。ところがどうだ、「オマー・アヴィタルって人、大好き」って言っているのを耳にすることは万に一つかも知れないが、そんな折にはよくぞとばかり相好を崩す私がきっといる。
もし貴方が「オマー・アヴィタル」と耳にしたら、よくオバちゃんが「どこどこへ行ってきたで~、良かったで~」、「ホントぉ、韓国?イタリア?やだ~ハワイなん?」と訊いて、「ちゃうちゃう、イスラエルやわ」と反ってくるようなもんだ。そんなイスラエルへ旅するに匹敵するほど希有な存在であるのがオマー・アヴィタルだ。
今ジャズ・シーンではイスラエル出身のミュージシャンに熱い視線が注がれている。このオマー・アヴィタルにその先輩格にあたるアヴィシャイ・コーエン、そのバンドメンバーでピアニストのシャイ・マエストロ(来月ソロ・デビュー)などと嬉しい限りだ。その中からブログ初登場となるオマー・アヴィタルをちょいと。
最新作『YES!』はドラムのアリ・ジャクソン、ピアノのアーロン・ゴールドバーグにベースのオマー・アヴィタルのCo-reader作となっており、ゴールドバーグとは90年代後半にOAMトリオを組んでいたことがある。
さてイスラエルからくる音のイメージって湧きますでしょうか? 私はマイナー調でどことなく神々しいというイメージがあり、アヴィシャイ・コーエンやこのオマー・アヴィタルの諸作品においてはそうなんです。でもどうでしょう、一曲目のアフリカ出身アブドゥーラ・イブラヒム作<Maraba Blue>や二曲目のアヴィタル作<Yes!>を聴く限り真っ当なアメリカン・ジャズを演っていらっしゃいますし、モンクやエリントン・ナンバーを3曲も取り上げているとなるとオヤって。しかし伏兵は居りました、アリ・ジャクソン様です。
三曲目ジャクソン作<Aziel Dance>、軽~いマイナー調でボッサのリズムが心地よく、御三方の力量がうまく配分されているナンバーだと思います。ジャクソンの作品でもう一曲、マイナー調の<El Soul>は甘美なメロディで身が溶け出しそうなほどいいですが神々しさはありません。こうなりますと神々しさはやはりアヴィタルに任せなきゃと彼の代名詞になった<Homeland>こそイスラエル・ジャズといえましょうか。寺村容子さんも初めて耳にし即自分の作品に取り入れたほどののめり込みよう。御三方の演奏もどんどん熱くなってゆき、圧倒的な量感に聴く者皆がおののくと、そこかしこに神聖さと緊張感が張りつめてくる。「神、降臨!」いや「けんげんこうりーん」と思わず出てしまいましたが、後者は知り合いに教えていただいた御まじないだそうです。いや~いずれにしても次作が楽しみな人達です。
-NO.625-
★菜の花祭り★
あなたの好きな花はと訊かれると向日葵と答えることにしている。向日葵のあの濃い黄色に憧れるのである。黄色い花といえば、この時期菜の花が色鮮やかに田畑を染めているころだ。目にして綺麗、食しても旨く、顔を寄せれば春というより初夏を思わせる匂いが鼻をついてくる。また春の季語にもなっている“菜種梅雨”とは、この時分降る雨のことで、ここでも夏の雨のような微かに初夏をも思わせるいい匂いを含んでいる。ちなみに“菜種油色”というと濃い黄色を指す。