昔は格好いいなぁ~なんて上下に身体を揺らしながら聴いていたが、今聴いてみて“こりゃ~ショックだ!”なんて思えるジャズがあったのだと“コーラ・ショック”を飲みながら久しぶりにじっくりと耳にあててみた。それは俗に言う“ジャズ・ロック”といわれる類の60年代半ばに流行りだしたお気軽音楽だった。駄洒落でも言いたくなるくらい面白可笑しい内容だ。
この朱の色でジャケットの7、8割を占めているのはハンク・モブレーの人気盤『ディッピン』に他ならない。僕にとってモブレーで3枚挙げるとなると60年代幕開けの〝ソウル・ステーション〟に60年代後半の“リーチ・アウト”とこの60年代半ばの朱色とすんなり決まる。
かつてリー・モーガンを筆頭にブルーノーター達がこぞってジャズ・ロックへの道を切り開き、ジャズとは無縁だった純潔無比の人々を引き寄せ、ジャズと真摯に向き合った人達を未知なる聖域へと誘い込んだ。その極めつけがリー・モーガンの“ザ・サイドワインダー”でありモブレーの「ザ・ディップ」だ。何やら奇妙奇抜なイントロからして時代臭さを露呈。恥ずかしさの微塵もなくリー・モーガン、ビリー・ヒギンズにラリー・リドレーと当の御本人がジャズ・ロックなんてこんなもんでいいんだろうってな軽いノリでやっているから可笑しくも可愛くもある。次に超有名曲の「リカード・ボサ・ノヴァ」が控えているにもかかわらずもうお腹いっぱいになってしまって困るのだ。うんざりはその「リカード~」における太鼓と申しましょうか、ヒギンズの乾いたドラムが微笑ましくて稚拙美さえ漂ってくる。ギラギラとした夏も終わりを告げ、密かに秋の気配が身の周りに潜み始めた9月初旬の日曜の昼下がり。のほほんとジャズでもと枕をともにしようとも、もはや救いようのない境地に追い込まれた気分。これはモブレー達だってそうなんだろうとニヤリさせられるのが「アイ・シー・ユア・フェイス・ビフォー・ミー」だ。ミュージカル“マイ・フェア・レディ”からのバラッド。こんな風に出されてしまうと、一気にキラキラとした秋の気配がはらわたの隅々まで染み渡ってしまうからジャズってやめられない。と同時に僕の口から、ふ~っと夏の残り香が空に舞った。
-NO.533-
【桂樹舎・和紙文庫】
越中八尾の夏はおわら風の盆で終わる。その八尾といえば手漉き和紙。その和紙を使った工芸品に人気のペンたてがある。おわら風の盆に相応しい絵柄に惹かれ和紙文庫で購入したのがこれ。また和紙文庫では世界の紙に関した常設展示(有料)もやっているので是非お立ち寄りください。という私は見逃してしまって後悔しきり。