エンジンのキャブレターの原理、ベンチュリー効果。
連続した管の一部を細くすると、そこだけ流速が増えるので、ベルヌーイの定理により、圧力が減る。
この「減圧」で、別の流体を吸い込むことができる、というもの。
だいたい、こんな図。左から空気などの流体が流れてくる。
真ん中の細いところが、流速が速いから、その分、圧力が低くなる。
私もやってみる前は、きっとこんな感じになるだろうと思っていました。
でも、実際やってみると、こうはならなかった、という話。
1)左から空気を吹き込む時は、こうなる。
ウキが水圧計代わり。
水面より下だと、圧力が高く、水面より上だと、圧力が低い(真空)。
あれあれ、左右の圧力がずいぶん違う。
風を吹き込んでいるほうは、圧力が高くなってる(ウキが水面より下がる)。
図にすると、こんな感じ。
出口側は、ほとんど大気圧(ウキは水面近く)。
真ん中は、圧力が低い(ウキが水面より高い→ベルヌーイの定理のとおり)。
空気を吹き込むほうは、大気圧より圧力が高い(ウキは水面より下になる)。
ドライヤーで吹き込んでますからね。
やってみると、そりゃそうだな、という感じです。
2)今度は、右側から空気を吸ってみる。
エンジンのキャブレターは、エアフィルターからキャブレターに空気を吸い込むけど、実験では、エアフィルターはなくて、大気開放。
だから、入り口側はほとんど大気圧という結果になりました。
図にするとこんな感じ。
エンジンのキャブレターがうまく機能しているのは、吸い込みで機能しているから、もともと負圧(真空)になりやすい、っていうのがあると思います。
最初の実験のように、噴き出す空気で吸い込むのは、できるのはできるけど、よほどうまく設計しないとベンチュリー効果で液体を吸い上げるのは難しそうでした。
医療用のベンチュリーマスク、酸素を噴き出して空気を吸う仕組みですが、これはベンチュリー効果というよりも、空気流の剥離で負圧になって、空気を吸ってるんだと思います。
空気の噴流のまわりに、大きな窓が開いているので、ベルヌーイの定理の前提である、「閉じたられた系」とはいいがたいですし。
そもそも閉じてない。
この実験で、流量や流速、真ん中の細い部分をオリフィスに見立てると、流量係数の計算などができます。
大気開放側、右側から計算します。
次に、細い部分と、入り口から、流量係数を計算。
もし、管内の損失が0だったら、出口側と入り口側の圧力は、同じ、はず。
もし、管が左右に相当程度長く、真ん中の絞りが、非常にゆるやかで損失がない、という理想的な場合は、左右が同じになるはずですが、そうはならなかった、という実験結果です。
その程度を計算します。
完全に損失がない、理想上の流路だと、C=1になります(現実にはならない)
実験の様子を動画にしました。
ドライヤーとホースを使って、狭い流路部分の圧力がどうなるか、わかるでしょうか。
その他、流体の実験をまとめました。