霧吹きの原理だとして、ベンチュリの効果だ、としているものが多い。

が、これは、間違いです。

もう、断言しちゃう。

 

誤:ベンチュリ効果で霧吹きが起こる

正:流れの剥離で霧吹きが起こる

 

「これがベンチュリ効果で霧吹きができる証拠動画だ」

というのは、たくさんありますが、これは「剥離」の現象を見て、ベンチュリ効果だと誤認している動画。

 

多くの説明は

「容器に立てた細い管に、勢いよく風を吹き付けると、ベンチュリ効果によって負圧になって、管から液体が吸い上げられる。」

 

昔の教科書にも、同じ説明があった。

 

でも、実験すると、こうならないどころか、逆に管から空気が噴き出してしまう。

左からドライヤーで風を噴き出し、T字型の管で「ベンチュリ効果で水を吸い上げる」かどうか試してみた。

 

ところが、吸い上げるどころか、ぶくぶく噴き出すじゃないですか!焦りました。

 

「いや、そんなはずはない」という方、ぜひご自分でやってみてください。

 

ちなみに、この写真の右側の管を外して、T字を、L字にすると、水を吸うようになる。

下の写真、ホースの途中まで、水位上がってるの見えますか。

でもこれは、ベンチュリ効果ではなくて、流れの剥離の効果。

 

じゃあ、教科書の説明が、ぜんぜん間違えているか、というと、そうでもない。

 

左の図は、確かにベンチュリ効果の説明だが、これは、左から空気を送ってるのではなくて、右側から管内の空気を吸ってる図。

この原理で霧吹きにしようとすれば、右から思いっきり吸い込むしかない。

 

右の図は、何一つ正しくない。

ベルヌーイの定理は、「閉じた系」の非圧縮流体の流れを前提にしてる。

右の図は、閉じた系ではないので、ベルヌーイの定理、およびベンチュリー効果の条件範囲外だ。

 

次に左の図は、確かにベンチュリ効果の説明だが、これは、左から空気を送ってるのではなくて、右側から管内の空気を吸ってる図。

この原理で霧吹きにしようとすれば、右から思いっきり吸い込むしかない。

 

図解。

 

まず、下の図。左から右に風が流れます。

A、B、C、それぞれの管の中の水は、上がるでしょうか、下がるでしょうか?

 

答え。場合による。

 

なんだそれ?

 

では、左から風を吹き込むときはどうなるか。

水は下に下がります。

管の中の圧力は、大気圧よりも高くなるため。

下がり方は、A、Cが大きく下がり、Bは少し下がる、はず。

 

右から吸い込むと、水位はそれぞれ上がる、はず。

 

ということで実験やってみましょう。

ドライヤーとホースで、霧吹きができるでしょうか?

 

動画にしてみました。

 

 

その他、流体の実験をまとめました。