石焼き芋の思い出 | ねこねこカリカリ日和NEO

坂町の年配の方は愛おしそうに

 

「坂の芋はうまいんじゃけんのぉ」とよく言われた。

 

温暖な気候で、土地が痩せているので

 

さつまいもを栽培するのにはうってつけの土地らしい。

 

日当たりのいい砂地が最適らしい。

 

猪の被害が出るまでは

 

初夏から秋まで畑には芋の葉が揺れていた。

 

今は獣害除けの柵を巡らした畑の中で栽培しているが

 

猪被害で栽培を諦めている農家さんも多い。

 

11月に入って、石焼き芋売りの車が遣って来る。

 

い~しぃ やぁ~きぃ いもっ おいもっ♪

 

思い出が過る。

 

小学生の頃、さつまいもは例年通りの豊作で

 

納屋の芋小屋で風邪を引かないように保存されていた。

 

そこへ見知らぬおじちゃんが遣って来て

 

母に向かって、「芋は無いか?」と問うた。

 

「ありますよ」と答えた母に

 

「石焼き芋屋じゃが、芋を分けてくれんか?」と言った。

 

「なんぼないと」と母は応えた。

 

ほくほく顔で沢山のさつまいもをおじちゃんはタダで・・・

 

「タダ」で 持って帰った。

 

暫くして、家の前を石焼き芋屋の車が通り過ぎた。

 

興味がわき、「なんぼするん?」と問うた。

 

石焼き芋屋のおじちゃんは、「100g500円」と答えた。

 

原価0円なのに ぼったくりじゃないか

 

と思ったが、その当時は内気で可憐な少女だったので何も言わずに

 

その場を去った。

 

以来

 

石焼き芋屋とは縁が無い。

 

遠赤外線で焼いた芋はとろりと蕩けたように甘くなり

 

本当に美味しい・・・

 

分かっているけど 高いなぁと思う

 

あの時の石焼き芋屋さんはいつもタダで農家からさつまいもを

 

ふんだくってた訳じゃ無いと思うのだけど・・・

 

母が「なんぼないと」って言ったので

 

足元見たのか。

 

タダでふんだくった家の前を通る時は少しくらい遠慮したら良いのにって

 

あの頃の私は思った。

 

石焼き芋屋のおじちゃんは、夏場はわらび餅売りをしていた。

 

わらび餅は何度か買ったっけなぁ