7章 その①

【要約】
〔1〕関係の定義(初期)
関係的なものとは、そのものが「他のものの(あるいは他のものより)」という仕方で言われるものか、あるいは他の何らかの仕方で「他のものとの関係において」そう言われるもののことである。
例)
より大きいもの:「他のものより」と言われている
2倍のもの:「他のものの」と言われている
大きい山、同様なもの:「他のものとの関係において」言われている

性状、状態、感覚、知識、位置(体位)も関係的なものに属する。
これらも或るものの状態、或るものの知識、或るものの位置と言われているため。

横臥、起立、着席などの位置も関係的なものに属する。
しかし横臥していること、起立していること、着席していることは位置ではない。
これらは横臥、起立、着席という位置から派生名的にそう呼ばれているものである。

〔2〕反対性
関係的なものには、反対性を持つものもある。
例)
徳と悪徳
知識と無知

しかし「2倍のもの」や「3倍のもの」などには反対なものは何もない。

〔3〕程度性
関係的なものには、「より多く」と「より少なく」を持つものもある。
例)
より多く/少なく同様
より多く/少なく等しくない

しかし「2倍のもの」のようなものは「より多く」と「より少なく」を持たない。

〔4〕換位性
関係的なものはすべて、換位的に言われる。
例)
主人の奴隷⇔奴隷の主人
半分のものの2倍⇔2倍のものの半分
「より小さいもの」より大きい⇔「より大きいもの」より小さい
知識されるものの(属格)知識⇔知識によって(与格)知識されるもの
感覚されるものの(属格)感覚⇔感覚によって(与格)感覚されるもの
(「の」(属格)と「によって」(与格)のように格語尾に違いのあるものもある。)

しかし或るもの(a)がそれ(b)との関係において言われるところのそのもの(b)が固有な仕方で示されていない場合は、換位しないし、それらは関係でない。
その場合は固有な仕方で示すようにすることで、換位し、それらは関係となる。
またその名称がない場合は、「翼あるもの」や「舵あるもの」のように名称を作る必要がある。
例)
固有な仕方で示されていない→固有な仕方で示される
鳥の翼⇔翼の鳥→翼あるものの翼⇔翼によって翼あるもの(鳥でない翼を持つものもあるため)
船の舵⇔舵の船→舵あるものの舵⇔舵によって舵あるもの(舵を持たない船もあるため)
動物の頭→頭あるものの頭(頭を持たない動物もいるため)
人間の奴隷→主人の奴隷

〔5〕本性上同時
(後で書く)

【感想・考察】
〔1〕関係の定義(初期)
関係とは関係の基底であるAとBが、aとbという関係を持つという形で表すことができる。
それを以下の形で表記する。

a[A]b[B]
ab:ABという基底の持つ関係。
AB:abという関係を持つ基底。実体または属性
基底とは実体または属性で関係を持つものとして定義する。

例)
妻[Aさん]夫[Bさん]
小さい[160cm]大きい[180cm]

言葉では以下のように表現できる。
bのa、bによってa(夫の妻、夫によって妻)
Bのa(Bさんの妻)
BというbのA(Bさんという夫の妻)
Aはaである(Aさんは妻である)
aであるA(妻であるA)
AはBというbのaである(AさんはBという夫の妻である)
BというbのaのA(Bという夫の妻のA)

性状、状態、感覚、知識、位置(体位)も「Bのa」または「Aのb」という形で言われるため関係である。
性状とは固定的で長持ちする性質(知識や徳など)、状態とは動きやすく速やかに変化する性質(暖、冷、病、健康など)のことである。(第8章より)

性状あるもの[Aさん]性状[徳]
徳あるもの[Aさん]徳[勇気]
状態あるもの[Aさん]状態[病気]
病気あるもの[Aさん]病気[その状態]
感覚[意識]感覚されるもの[熱い]
知識[意識]知識されるもの[円の正方形化](正方形化とは与えられた図形の面積に等しい面積の正方形を作図すること)
体位あるもの[Aさん]体位[その物理状態]
横臥あるもの[Aさん]横臥[横臥していること]
起立あるもの[Aさん]起立[起立していること]

ここでabは関係属性だが、ABは(関係属性の関係を考えていない限り)関係属性ではないので、横臥していることは関係属性とはならない。
これが横臥という関係から派生名的に横臥していることと表現しているのであって、しかしだからと言って関係属性になるということはない。

〔2〕反対性
徳と悪徳や知識と無知は、
徳は徳あるもの[Aさん]徳[勇気]、悪徳は悪徳あるもの[Aさん]悪徳[臆病]
という形で関係である。この徳と悪徳は反対のものである。
また知識は知識[意識]知識されるもの[円の正方形化]、無知も[無知]無知されるもの[円の正方形化]
という形で関係である。この知識と無知は反対のものである。
このため関係的なもののうちに反対のものもある。
一方、2倍のもの[100cm]半分のもの[50cm]などの関係である2倍のものに反対なものは何もない。

〔3〕程度性
(後で書く)

〔4〕換位性
換位とは「aの(によって)b」を「bの(によって)a」に言い換えられること。関係はすべて換位する。ただし、AとBが固有な仕方で示されていない、つまり正しい形で表現されていなければ換位しない。
翼あるもの[鳥A]翼[鳥Aの翼]は換位するが、鳥[鳥A]翼[鳥Aの翼]は換位しない。
翼を持たない鳥もいるし、飛行機など鳥でない翼を持つものもいるから。翼は鳥によって翼なのではないし、鳥も翼によって鳥なのではないから。
猫あるもの(猫を飼うもの)[Aさん]猫[猫A]も換位しない。
猫は飼われていない猫もおり、猫あるものによって猫ではないから。もしこれが
猫あるもの(猫を飼うもの)[Aさん]飼い猫[猫A]なら換位する。
翼、舵、頭は飼い猫と同じように「○○あるもの」を前提としたものと言える。
また性状、徳、状態、病気、体位、横臥、起立などの属性も必ずそれを持つ実体はあるので「○○あるもの」を前提としたものと言える。

〔5〕本性上同時
(後で書く)