さよなら、サヨナラ……大切な人


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 デートに誘ってくれたその|男性《ひと》は、やさしそうな
人に見えた。


 花は、今の何かを打破したくてデートに応じることにし、
出かけて行った。



 しかし何度か彼とのデートに出掛けたけれど、つい相原と
比べてしまう自分がいて、心癒されない自分に気付き
自己嫌悪に陥るのだった。




          ◇ ◇ ◇ ◇






 掛居とのデートは話も合うし楽しかった。



 だが、彼女が自分との逢瀬を100%楽しんでいるようには
どうしても思えず、自分の誘いを断り切れず無理をして
いるのではないだろうかと真鍋は思うようになっていった。




 まだデートといっても近場で3回ほど会った程度だが、
社内ですれ違ったりする時はお互いアイコンタクトを取る。




 それでその日も昼休みが終わりそうな時間に視界に
彼女が見えたので挨拶だけして席に着こうと思っていたら
派遣の遠野さんから

『夜間保育どうして辞めちゃったの?』

と彼女が問い詰められているところに遭遇。





 彼女が何やら説明して遠野さんから離れて行ったんだが、
なんて答えたのかは聞き取れなかった。


 それでつい気になって遠野さんに訊いてしまった。




「えっと、聞くつもりじゃなかったんだけど、掛居さんって
保育所でも勤務してたの?」




「そうなのよ。
 保育士の芦田さんと凛ちゃんに気に入られてね。


 あっ、凛ちゃんって相原さんの娘さんのことね。

 なんか掛居さん、相馬さんとペアの仕事もなくなるし、あんなに
可愛がってた凛ちゃんがいる保育所の夜間保育も辞めちゃうしで
……彼女今ちょっと、なんだろう……なんて言えばいいのか、
言い得て妙な言葉が見つからないけどまぁ、今までが充実し過ぎて
いたから淋しいと思うんだけど、保育所は辞める必要ないと
思うのよ。

 だけど知らないところで何かあったのかもしれないわね」




 俺は丁寧に説明してれた遠野さんに礼を言って席に着いた。




 俺とのデートでは楽しそうにはしているが何ていうんだろう、
気持ちは俺にないって感じ?



 相原さんとのことは今までどんな関係だったのか皆目
分からないし、相原さんが心ここにあらずの原因なのか
どうかもも分からないけど、俺は次のデートで
はっきりさせることに決めた。



          ◇ ◇ ◇ ◇




 

 何度目かのデートの折に、真鍋から
『掛居さんには他に誰か好きな人がいるのでは?』
と本心を見抜かれてしまう。



『ごめんなさい』と素直に謝罪をした花。



「でも、俺、掛居さんと何度もデートできて本望です。
 掛居さんと同じくらい素敵な彼女をいつかGetするから」




「うん、真鍋さんなら絶対できると思う。
 短いお付き合いだったけど、今までありがとう」



 こうして花は真鍋とは円満に話し合いをし、元のただの同僚に
戻っていった。


 




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