さよなら、サヨナラ……大切な人
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翌日は二人共会社へ行かなければならないので
花はいつもより早起きして
相原に簡単な朝食、トーストにベーコン&エッグと野菜サラダ、
そしてコーヒーを出して食べさせ自宅へと帰した。
そして自分も大急ぎで身支度を整え、出社した。
余りに|忙《せわ》しなく時が過ぎてゆき、会社のデスクに
着いてほっとしたところでようやく昨日からのことを
振り返ることができた。
人生初、自宅に男性を泊めた。
しかも交際もしてない男性の宿泊。
寝袋なのがほんと笑っちゃうけど、相原さんったら
眠る直前まで、むちゃくちゃ子供みたいにはしゃいでたけど、
これってどうなの?
私たちの付き合い方って。
どうもこうも清いご近所づきあいのようなもの。
これが考えて導き出された結論だった。
この調子だとそれこそ私が異動になるか相原さんが
異動になって凛ちゃん繋がりがなくなれば私たちの
お付き合いも自然消滅するのかな。
それとも……。
私はそんな日が来たら引っ越ししようと決めた。
ここにいて延々ご近所同士で繋がり続けるっていうのは、
将来に向けた結婚というものを考えるに、余り
よろしくないような状況ではないかと思われるからだ。
相原さんが私に対して恋愛感情を持ってくれていたら
うれしいなって思うけど、まず|家《うち》に来たのは
クリスマスイブを過ごす為ではなく、野菜がたくさん
届いたから貰って下さいというもので、たまたま来た感が
半端なく、それでもまだ少し期待してたんだけど
子供のようにはしゃいで寝袋で寝て帰って行っただけ。
ロマンスのカケラもなかった。
私、涙目。
もうこの辺で変に期待するのは止めなきゃ。
だって、しんど過ぎる。
見た目は映画に出てきてもおかしくないくらい
イケメンなのに、映画の中のキャラのようにはちっとも
愛の言葉を囁きやしない、ただのイケてない人なのだ。
……なんて、何てこと言うの花。
自分だって綺麗で小粋な風情の女優でもないのだから相手にだけ
俳優やモデルのようにお洒落でスマートに振舞えなんて言える
立場じゃないっつうの、|花《はーな》。
そうよ、分かってるってば。
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