さよなら、サヨナラ……大切な人

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 相原さんは食事の準備をする時、とてもナイスなヘルパー
だった。


 決して先走らず、私の指示したことだけを忠実に
こなしてくれた。


 待てと言えば待ち、お手と言えば手を……じゃなく、
その場でずっと待機していて必ず何かしてほしい時に
側にいてくれた。


 男の人ってなかなかこうはいかないものなのよ。



 昔、匠吾と一緒に簡単なものを作った記憶があるけど、
一つ何かお願いして次の指示を出さないでいるとすぐに椅子に
座っちゃったりするんだよね。


 それだと、こちらも次の指示が出しにくい。



 だって指示するより自分でやるほうが早いもの。
 流石、凛ちゃんのパパしているだけあるなぁ~って
感心しちゃった。


 食後のコーヒーをテーブルに置いて準備万端。


 なんだかんだで二人でソファに座り映画を見始めたのが
8時半過ぎで見ている間、私たちは最後までほとんど
話すことはなかった。



 私は一度19才の時に自分の部屋で匠吾と一緒に見ている。


 若かったからか、二人してものすごく感動して……
どちらからともなくキスを交わした。

 私の初めてのキスだった。
 匠吾もたぶんそうだったはず。


 人間って不思議、同じ作品を見ても時の経過や一緒に
見ている相手、そして自分の現状などから全く同じ感情と
いうものにはならないらしい。


 あの時のあの感動はなんだったのだろう? 
 いい作品であることは間違いないし、
知らずに見たならばもっと感激度が増したかも
しれないけれど。

 これが今回『タイタニック』を見ての私の正直な感想だ。


 さて、終わってしまった。
 相原さんは何て言うのかな。





「終わりましたね。
 ひゃあ~3時間もあったみたい。
 以前見た時もあっと言う間だったけど」

 時計の針を見ると、とっくに11時を回ってる。



「終わったね~。いやぁ~、いい作品だった。
 見せてもらって良かったよ。

 俺もあっと言う間だった……けど、時間のほうはそうじゃないな」


「……ですね~」



「あの……、泊まったら駄目だよね?」





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