さよなら、サヨナラ……大切な人
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相馬から頼まれた残業は二人でやっつけると1時間足らずで
終わってしまった。
「ラスト、私のほうはこれで終わります」
「ありがとー、助かったぁ~。お礼に何かご馳走させて」
「えーっ、仕事なのでそんな事気にしないで下さい」
「いやまぁ、今日だけのことじゃなくて今までのこともあるしね。
いつか一度飯でもって思ってたから。
でも掛居さん金曜は大抵保育のほうの残業がずっと入ってたから
なかなか誘う機会がなくてね。
また来週から夜間保育に入るだろうからそしたら今度いつ
誘えるか分からないし、クリスマスもちょうど近いし、
少し早いけどクリスマスってことて何か美味しいもの食べよう」
「それじゃあ、お言葉に甘えてご馳走になります。
実はお腹すいちゃってて……」
「ははっ、俺も。お腹の虫が鳴いてる」
私と相馬さんがチョイスした クリスマスメニューは、
Christmas セットでちょっぴりリッチな温野菜もたっぷりの
濃厚クリームソースのハンバーググラタンにパンとケーキ
それとコーヒーが付いてる。
ハンバーググラタンまでは二人共無言だった。
だってお腹空いてたのよ。
この後ポツポツ話しながら食事が進んで私の大好きな
ケーキ&コーヒーTimeになると不意に相馬さんが
何か言いたそうな素振り。
『いやんっ、ケーキ終わってからに……してほしい』
って言うのは酷いかしら?
「ケーキがたまらないわぁ~、美味しい~」
お話引き留め作戦……どうだ。
「ははっ、女の人ってケーキ好きだよね」
「それっ、食べないならいただきましょうか?」
「ぷっ、参ったなぁ~。掛居さん俺を黙らせようと
してない?」
「えーっ、何か話したいことあるんですか?
こんな美味しいケーキが目の前にあるっていうのに」
「分かりました、俺のケーキもどうぞ。
食べてからでいいから俺の話聞いてね。
お・ね・がぁ~い」
「ぷっ、相馬さん変な人になってますよ。
あぁ、ありがとうございます。
じゃあもう一個いただきますね。
ちょっとお待ちください。
う~ん、美味しい~」
相馬さんが涙目になって見えるのは気のせいかな。
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