さよなら、サヨナラ……大切な人

 

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 たまたまではなかったことが分かってしまった。



 掛居が金曜日に夜間保育の助っ人要員になっていることは
知っていたけれど、まさか……相原と一緒に帰るような仲に
なっていたとは。



 それは相馬にとって青天の霹靂だった。



 自分はこれまで掛居とはいい距離感で上手くやってきており、
ふたりの関係性に満足していた。




 恋愛を挟まないからこそのほどよい距離感であり、相馬は職場に
おいて毎日充実していて、この先も最低でも2年から3年ほどは
今のままでいられるのだと思っていた。


 だが彼女に男ができるとなると話は違ってくる。


 確実に……。



予想していたよりも早く彼女が退職してしまう可能性が出てくる。
それは嫌だ……。



 いや、それも嫌だが彼女が自分とよりも他の男と親密に
なるのがすごく嫌だ。




 恋愛感情は抜きでと、一緒に仕事するようになって最初に
お互い確認し合った仲とはいえ、時間の経過と共に自分が
惚れこんだ相手なら他の人間だって彼女の人柄の良さに
気付くというもので、どうしてこの先も彼女が誰とも
恋愛しないなんて思えたのか……油断していたことが
悔やまれる。




 俺は、彼女の仕事場に恋愛感情を持ち込まないという姿勢に
惚れこんでいたわけだが、先週とそしてこの夜彼女の側近くに
男の影を見たことで、自分はいつの間にか恋愛感情で彼女のことを
好きになっていたことに気付かされた。




 何度も自分に問いかけてみた。

 業務上とはいえ、仮にもパートナーの彼女を相原にもって
いかれそうだからという理由で焼きもちを恋心と勘違いしては
いまいかと。


 自問自答してみる。

 焼きもち焼いているのか? 
 ものすごく焼いてるな、自覚有り。


 掛居さんがヤツのものになるのは嫌か?
 すごく嫌だ。


 じゃあこの先、掛居さんとずっと一緒にいたいのか? 
 いたい、と俺の心が告げる。

 相原さんは同性から見ても魅力的な人で人間性も
素晴らしいと思うが、ここは、これだけは一歩も引けないと
思った。





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