さよなら、サヨナラ……大切な人

 


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 週明け出勤後、何となく私は遠野さんのことが気になって
しようがなかった。



 芦田さんに直談判に行ったという遠野さんだったが、その後
2度ほど一緒に昼食を摂った時も小暮さんがいたせいかも
しれないけど相原さんや芦田さんの名前が出ることはなかった。



 彼女は唯一のとっかかりを失くしてアプローチを
諦めたのだろうか。


 そんな風な思いを抱いて一週間……。


 また金曜の夜間保育の日がやってきた。



 別段相原さんから緊急連絡は入ってないので今日も彼は
20時頃凛ちゃんを迎えに来るだうろうと予想し、私は
19:40頃になるとなるべく早く帰れるように
凛ちゃんの様子を見ながら周囲を見回して片付けを始めた。


「掛居さん!」

 声のする方を振り向くと作り笑いを顔に貼り付けた
遠野さんの姿があった。


『えっ!』
 私は言葉が出なかった。


「私、夜間保育は仕事としては入れなかったの。

 それで一度は諦めたんだけど、よく考えてみたら相原さんに
アピールするのが目的なんだから保育要員じゃなくても
いいんじゃないかって気付いたんです。



 掛居さんとは同じ職場で働く者同士、知り合いなのだし……。
 だから掛居さんの様子伺いに来ました」




 だから? 私は彼女の意図するところがよく分からなかった。


 私の様子伺い? だけど、もう少しで残業も終わるっていう
今頃になって? 

『ハッ!』そういうことか。


 相原さんのお迎えの時間に合わせて来たっていうことなのね。


 すごいぃ~、遠野さんって真正の肉食系女子だったんだ。



「様子伺い……って、あともう少しで業務も終わりよ」


「相原さん、20時には来ますよね?」


「たぶん……ね」


「私も掛居さんと一緒に見送りしたいなぁ~」



「いいけど、大抵私はほとんど話すことはなくて、芦田さんの横に
立って『お疲れさまでした』って言うだけなの」


 私がそう言うと遠野さんは部屋の中をぐるりと見渡して探った。



「でも、今日は芦田さん、いないみたいだけど」



 遠野さんが私にそう言うやいなや、いつの間にか芦田さんが
起きていたようでタイミングよく、私の代わりに遠野さんへの
返事をしてくれた。






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