さよなら、サヨナラ……大切な人
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◇遠野理子のびっくり箱
「|皆《みんな》モチモチしていて可愛かったぁ~、大満足ぅ~。
掛居さんが抱っこしてた子って凛ちゃんですよね」
「あぁ、うん。でもどうして……」
遠野さん、どうして凛ちゃんのこと知ってるのだろう。
「実は2回ほどひとりで昼休みに子供たち、見に行ったことが
あって芦田さんから聞いてたんです。
夜間保育のことか休日のサポート保育のこととか。
私、ちょっと後悔してるんですよー」
「えっ?」
「その理由が姑息過ぎて余り大きな声では言えないん
ですけど……」
「なになに?」
「小説書くのに忙しいのは本当で、昼休憩の時間も惜しいくらい
小説に時間を割きたいというのも本当ですけど、あのカッコいい
相原さんの娘さんがあの保育所にいるということなら話は別です。
こんな大事を知らなかったとは、迂闊でしたぁ~。
今までの時間が悔やまれます。
私なんて掛居さんより先に入社していたのいうのに。
掛居さん、私の言わんとするところ、分かります?」
「ええ、まぁなんとなくは。
相原さん本人に興味があるってことかな?」
「え~いっ、掛居さんだから思い切って話しちゃいますね」
いやっ、話さなくてもいいかな。
だって話を聞いてしまうとなんとなぁ~くだけど後々
ややこしいことに巻き込まれそうな気がするのは取り越し苦労
というものかしらン。
「相馬さんも素敵だけど今までの経緯を見ていると、とても
並みの人間には太刀打ちできない感じがして、遠い星っていう
感じだから恋のターゲットにならないでしょ?
それに今や掛居さんといい感じみたいだし。
私略奪系は駄目なんですよね」
はぁ~、遠野さんの話を聞いていて私は頭が痛くなってきた。
大体、今まで誰それに好意があるなんていう話出たこと
なかったのに、いきなりの想い人発言。
しかも相原さんてぇ~、どんな反応すればいいのか困る。
「あの、相原さんのことは何も反応できないけども、
相馬さんとのことに関しては、私たち付き合ってないから……」
「分かってますってぇ。むふふ」
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