さよなら、サヨナラ……大切な人

 

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「じゃあここで。
 すみません、送っていただいて。
 今日はいろいろとありがとうございました」



「いや、これしきのこと。
 しかし……ひゃあ~、まじまじとこんな間近で見るのは
初めてだけどすごいね、35階建てのマンション。

 今度さ、凛も連れて行くからお部屋見学してみたいなぁ~」



「いいですよ。片付けないといけないので少し先になりますけど
ご招待しますね」




「ありがたや。一生住めない物件だから楽しみにしてるよ。
じゃあ」



「はい、また明日」




 いやぁ~、なんか相原さんのペースに乗せられて
自宅の公開まで……。



 私たちの距離が一遍に縮まりそ。
 自分でも吃驚。


 こういうのもありなの? ありでいいの? 
 答えはいくら考えても出ないけど、いたずらに拒絶するのも
どうなのとも思うし。



 それにちゃんと相原さん私の思ったこと分かってくれてる
みたいだったし、取り敢えずこの夜、私は自分の胸に
訊いてみた。



 私は相原さんに恋してる? 恋に落ちた? NOだと思……う。


 私は匠吾に向けていた……向かっていた強い恋心を元に考え、
答えを導き出した。



 素敵な|男性《ひと》だな、とは思うけど、知らないことが
多すぎる。




 恋に落ちてないと昨夜、自分に向けて確認したけれど昨夜に
引き続き、翌日になっても自分の気持ちが何気にルンルン
していることに気付いて、やっぱり異性とのデートは
知らず知らず心が弾むものなのだなと悟った。



 ただこれ以上深く考えようとするのは止めておくことにした。


 そして今の自分の気持ちを大事にしようと思うのだった。



 それから仕事終わりの金曜日……遠野さん、小暮さんと一緒に
ランチをした後のこと。



 小暮さんはいつものようにいそいそと浮かんだアイディアを
図にするべくデスクへと戻って行った。


 いつもなら二人してデスクに戻るはずの遠野さんから
『久しぶりにチビっ子たちを見に行きませんか』
と誘われ、私たちは社内保育所へと足を運んだ。


 遠野さんはいろいろな子たちと触れ合い、子供たちとの
時間を楽しんでいるようだった。



 私はというと、私を見付けた凛ちゃんが真っ先に飛んで
来たので私はずっと凛ちゃんを抱いたまま他の子たちと
触れ合い、昼休み終了の時間まで保育所で過ごした。



 そんな私たちの様子をにこやかに見守っている
芦田さんの姿が見えた。


 子供たちとのお別れの時間が来ると……。

「またいつでも子供たちに会いに来てね」と言ってくださった。



「「ありがとうございます」」




 私たちは芦田さんにご挨拶をし、名残惜しい気持ちで子供たちに
手を振り、その場を後にした。





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