さよなら、サヨナラ……大切な人
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メールアドレスを残して帰ったものの、相原からは次の日の
日曜Help要請が入らなかったので体調は上手く快復
したのだろう。
今日は出社かな、週明け、そんな風に相原のことを考えながら
エレベーターに乗った。
自分の後から2~3人乗って、ドアが閉まった。
振り返ると気に掛けていた|人《相原》も乗り込んでいた。
「あ……」
「やぁ、おはよう」
「おはようございます」
挨拶を返しつつ私は彼の顔色をチェックした。
うん、スーツマジックもあるのだろうけれど元気そうだよね。
土曜はジャージ姿で服装も本人もヨレヨレだったことを思えば
嘘のように元の爽やか系ナイスガイになっている。
『凛ちゃんの為にも元気でいてくださいね』
心の中でよけいな世話を焼きながら先に降りた彼の背中を
見ながら同じフロアー目指して歩いた。
歩調を緩めた彼が少しだけ首を斜め後ろにして私に
聞こえるように言った。
「土曜はありがと。この通りなんとか復活できたよ」
「……みたいですね。安心しました」
私たちの間にそれ以上の会話はなく、各々のデスクへと
向かった。
昼休みにスマホを覗くと相原さんからメールが届いていた。
「土曜のお礼がしたい。
残業のない日がいいので明日か明後日、いい日を教えて」
「ありがとうございます。気にしなくていいのに……。
凛ちゃんのことはどうするんですか?」
「デートの予定が決まれば姉に預けるよ」
お姉さんがいるんだ、相原さん。
じゃあこの間はお姉さんの方の都合が付かなかったのね、
たぶん。
「私はどちらでもいいのでお姉さんの都合のいい日に
決めてもらって下さい」
「じゃあ明日、俺の家の最寄り駅で19:30の待ち合わせで
どう?」
「わかりました。OKです」
すごい、私は明日相原さんとデートするらしい。
そんな他人事のような言い方が今の私には相応しいように思えた。
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