さよなら、サヨナラ……大切な人
 

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 次に派遣されて来た|女性《ひと》は、
|魚谷理生《うおたにりお》さんっていう人で約1年続いたけど、
何て言えばいいのか……。

 仕帰りにたまにお茶して帰るくらい打ち解けてきて、仕事も
お願いすれば説明しなくてもあらかたスムースに作成して
もらえるくらいになって上手くいってると思ってたんだけど、
残念なことになってしまってね。


 彼女が辞めてから何度も自分の中で何がいけなかったのだろう
かと自問自答したけども『どうしようもなかった』としか
……ね、思えなくて。



「相馬さん、それって具体的には言いにくいことなんですか?」


「これから一緒に働くことになった掛居さんにはちょっとね」


「意味深に聞こえましたが……」




「魚谷さんに、恋愛感情を持たれていたみたいなんだ。

 最初に気付いた時に
『自分にはトラウマがあって一生誰とも結婚しない生き方に
決めている』って彼女にカミングアウトしてたんだけどねー。

『結婚を押し付けたりしないのでたまにはデートしましょ』
と言われ、まぁそれでうまく仕事が回っていくならいいかなと
思い、たまに……と言っても魚谷さんが辞めるまでに3度
出掛けたくらいかな。


 後はこうやってブースで息抜きに雑談したり彼女の相談に
乗ったり、仕事帰りにお茶して帰ったり。


 とにかく彼女が気持ちよく仕事ができればと
付き合ったんだけど……」




「上手くいってたのに、最後上手くいかなかったのは
どんな理由だったのでしょうか」



「あれは、仕事が落ち着いてきて定時上がりになった日の
ことだった。

 帰りにお茶でもと誘われてカフェに入った時のこと。

『私こちらに入社して1年経ちました』
と彼女から言われ
『ああ、もうそんなになるんだね。
これからもよろしくお願いします』
と返したんだ」





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