さよなら、サヨナラ……大切な人
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「サイン?
う~ンっとっと……そう言えば朝から熱でもあるのか
顔を赤くしてた日があった、かな。
ちょっとその日は変で僕とあまり視線を合わせてくれなくて。
それで僕の方もなんとなく槇原さんに声をかけづらくなって
しまって、そういうのもいけなかったかもしれないなぁ。
まぁ辞めたくらいだから、僕との仕事は息が詰まって
しんどかったのかもしれないね」
「彼女、ちゃんと辞める理由があったみたいなので
相馬さんとの仕事が嫌だったわけではないんじゃないかと」
「そうだよね、変に勘ぐってもどちらにとってもよくないと
思うからそういうことで、とは思うけどもね」
私は槇原さんがどういう|女性《ひと》か知らないから
断定はできないけれど、もしかしたら相馬さんと毎日近い距離
での仕事だったからしんどくなったのかも、と思わなくも
なかった。
片思いってしんどいものだから。
私も匠吾と両思いになって付き合うようになるまでは、
ドキドキしたり心配だったりでずっと不安だったもの。
相馬さんみたいな素敵な|男性《ひと》からアプローチが
あれば私も彼におちるかもね、なぁ~んて。
だけど相馬さんからはまず異性に対する溢れだす特別な感情?
みたいなものがぜんぜん出てない。
だから私もぜんぜんっ意識しないで仕事だけに集中
できるんだけどね。
周囲の噂だけを鵜呑みにする限り、相馬さんが次々に
派遣の女性と何かあって彼女たちが辞めたのでは?
みたいにとられている節があるけれども普段の仕事振りと
今話してる彼の様子から、そういうのじゃないっていうか、
相馬さんは誰彼なしに女性に手を出す人じゃない
っていうことが分かる。
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