さよなら、サヨナラ……大切な人

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 そして次に就いた大手ハウスメーカーでも魚谷は過去の経験を
何ら生かすことなく、同じようなことをやらかして辞めざるを
得なくなり追われるようにして辞職した。


 こちら大手ハウスメーカーの事務兼務付きの受付嬢の面接を
受けた時から魚谷はこんどこそこの会社で将来の夫となるべき
|男性《ひと》をGetするのだとの強い意志を持って臨んでいた
こともあり、社内のイベントごとは欠かさず参加し続けた。


 そしてそれが功を奏したのか、入社して1年経つ頃には社内の
エリートを恋人に持つことに成功した。
 

 大手ハウスメーカーでは雇用時にキャリア籍とノンキャリア籍
という具合に どちらかに選別され雇用される。

 これは退職するまで能力がいかに高かろうと
変わらないのであった。

 抜け目のない魚谷が選んだ相手は住宅総合研究所という部署に
所属する東大卒のエリートだった。


 ノンキャリア籍組とは給与が300万以上も違うと言われ
『専業主婦になれる』と魚谷は至極ご満悦であった。

 ただ、研究室に閉じこもり建材成分などの分析研究をする仕事柄
も相まって、地味な性格が少し気になるところではあった。

……とはいうものの、その恋人雨宮洋平とは順調に交際が続き、
付き合って3年が過ぎた頃両家で顔合わせもするという正式な
婚約を交わした。


 周囲にふたりの交際は公認だったが、婚約した話は結婚を
いつ頃にするか決めてからにしようということで周囲には
まだ発表していないような状況だった。



         





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