28.
" Tea Time お茶でも "
過去に何度も女性とはデートしてきたけれど、こんなデートは
初めてだったし、こんな女性は初めてだった。
ワクワクする気持ちになったのは、久しぶりのことだった。
小雨から普通の雨になり、本格的に降ってきたらどうしようかと
思っていたけれど、その後雨脚が強まることはなく、徐々にまた
小雨に戻っていった。
桂子さんが準備してくれたカーサイドタープのお蔭で釣りも
できたし、その上調理もでき、食事もできた。
むちゃくちゃ充実してるじゃないかー。
釣り・・万歳・・だ。
お腹も膨れて、使った調理器具などをふたりで手分けして
片付けることに。
帰りはどこかで店を探して、今日のお礼も兼ねてコーヒーでも
彼女にご馳走させてもらおう、そう考えていた。
片付けも終えて、その旨話そうと思っていたら・・・。
「小野寺さん、20分ほど掛かりますけどよろしければ
私の家でお茶でも飲んで、少し休憩してから帰られたら
どうでしょう? 」
・・と、桂子さんの方から先にお茶を誘われてしまった。
「あーっ、ありがとうございます。
では喜んでお邪魔させていただきます」
・・と、勝手に何の躊躇もなく、俺の口が勝手にうれし気に
答えていた。
ということで、俺は彼女の車の後ろについて車を走らせた。
29.
" Her House 彼女の家 "
俺は自分が集合住宅に住んでいるし、仲良くしてもらっている緒方さんの
ところも同じく集合住宅、マンション住まいなので、自然と桂子さんも
マンションかハイツのような集合住宅をイメージしていて、車をどうするかな?
などと考えていたけれど、心配する必要はなかった。
充分に置ける車2台分の敷地があり、彼女に誘導されたところに
俺は車を駐車した。
庭から続く玄関口までの小道には白や紫、緑の草花が両側から
元気よく咲き乱れていて、所々にうさぎのオブジェもお目見えしていて
ちょっとしたおとぎ話の世界観をイメージさせられ、可愛くて素敵な
空間になっていた。
敷地の全体に芝生のように短い草がそこかしこに咲いていて
全てが庭と言える造りになっている。
そして家はそんな庭にぴったりの平屋建てだ。
可愛らしい外観ではあるが、築年数はそれなりに経っていそうだ。
おじゃますると、すぐにLiving Roomに案内され、俺は
3人掛けのアイボリー色のソファに腰かけた。
「うちは、ダイニングテーブルと椅子のセットがないんですよ。
ソファとテーブルで兼用しちゃってるんです。両方置けるほど
広くないですし1人なので、いつでも寛げる空間にしておきたくて
ダイニングセットじゃなくてソファにしてるんです。テーブルの
高さを調節して高めにしてるので、食事するのも全然問題なしです」
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