20.
" Suddenly 突然の "
パラパラと小雨の降るあまり天候が良いとは言えない中、思って
いたよりも釣り人が多かった。
グループで来ている人、私のようにひとりで来ている人、といろいろだ。
「ふぁ~、喉乾いちゃった・・っと」わたしは持参してきていた
ミニチェアーに座り、冷たいお茶を口にした。
「ふぇ~、生き返ったー」
すると背後から声を掛けてくる人物がいた。
「どうです? 今日の釣りは。いい感じに釣れてますか?
隣で釣ってもいいですか? 」
誰に話し掛けてるんだろう?
私は声のする方を見た。
「小野寺さん ? 」
「はい、小野寺です」
「えーっ! すっごいぐーぜん。驚きました」
「それが申し訳ないですが、グーゼンじゃなくてですね・・昨日
桂子さんが釣りに行くって聞いていたので来ちゃいました」
「えっ? えっ? だけど私、この場所のこと・・」っとっとっ・・。
話してたわ、そうちゃんと小野寺さんに聞かれて何気にこの場所で
よく釣ってるって話してました、、私。
あっ? だから、電話番号のことも聞かれなかったのか?
いやいや、それより今のこのシチュエーションのことよ。
一体これは・・どういうこと? なのかな?
桂子、落ち着くのよ・・平常心・・平常心。
小野寺さんは私が釣りをするという話を聞き、自分も釣りが
したくなったから1人よりは2人と、ここへ来てみた。
ほらっ、桂子落ち着いて整理してみたら2行の文章でまとめ
られたじゃないの。
21.
" Exchange Phone Numbers 電話番号の交換 "
「何が釣れました? 」
「あぁ、えーとですね、今のところカマスが2つにコノシロが5つ
釣れてます」
「なかなかいい感じに釣れてますねぇ~」
なんか小野寺さんは少し前からすでにここに来ていたような存在感を
発揮して話しかけてくる。 おかしぃ~!
まっいっか。
旅は道連れ・・釣りは海連れ・・っと。(知らんけど!)
「あっ、そうだ・・桂子さん、これどうぞ。
船に乗る前に買ってきました」
「わぁ~っ、ありがとうございます。
冷えてるぅ~いただきます」
じわりじわりと気温が上昇してゆく中、冷えた缶コーヒーは
五臓六腑にゆきわたり、おいしい。
その後、一緒に釣りをしたのだけれど、釣った魚のこともあって
各々車で帰るので船を降りた後は、現地解散となった。
「一緒に食事でもと言いたいところですが、この気温じゃ
とても無理ですね。でも今日は一緒に釣りができて楽しかったです」
「ふふ、私も」
「えーと、携帯の番号教えてもらってもいいですか?
僕の方のは、後からお送りします」
「はい、いいですよ。え~っと、、080・・・972。大丈夫ですか? 」
「え~と、復唱しますね。080・・56・・72」
「はい、okです」
「じゃ、お疲れさまでした」
「お疲れさまでした。それとご馳走様でした」
「いえいえ、では気を付けて」
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