90.☑


 私はぁ~、雨汰くんと芽衣ちゃんと麦くんのことがすごく可愛いん
です。

 それと神谷さんの支えになりたいんです。
 4人と一緒の家族になりたいんです。
 4人が好きなんです」


 「あのぉ~、4人ってことは、僕のことも入ってるんでしょうか? 」

 「もちろんです」


 なんか知らないけど香さんはドヤ顔で俺のことを好きだと言った。
 素直にうれしいなぁ~。♪


 「神谷さん、何ニヤケテるんですかっ! 
 3人の子のお父さんなんですよ。
 顔はちゃんと引き締めてー! 」



 「Hai」

 香さん、お願いしますよー。
 恐妻家にはならないで下さいよー!


 なんか、神谷さんの表情から彼の考えていることが駄々洩れだ。
 私もついつい暴走している自覚はある。

 敢えて神谷さんたち親子と知り合うにあたり、意図的に見た目も
キャラも作り込んだ。

 三つ編みドーナッツ型のヘアスタイル、カラフルな伊達眼鏡、そして
若作りしたかなり抑えめだけど・・ロリーターファッション・・風。

 装いの力は偉大だよね。
 本当の自分からかけ離れたキャラが自然と出来上がったんだもの。

 だけど、装いを元に戻せば、以前の自分にちゃんと戻れる?
と思うのよ、神谷さんっ。

 本当の私のキャラに戻れば、決して恐妻家にはならないと思うから
安心して。

 

90-2.☑

 「同情も少し入ってるけど、子供たちと、そして僕のことを好きだから
プロポーズしてくれたんですよね? 」

 俺はもう一度最終確認を香さんにした。

 「はい、同情も少し入ってますけど子供たちと神谷さんのことが
好きだから一緒に暮らしたくてプロポーズしました」


 「ありがとう、ほっとしました」


 彼は嬉しそうだ。
 でも、酷い人。



 自分のことを好いているのかと私に確認はするが、自分の気持ちは
・・私に対する自分の気持ちはちっとも口にしない。

 信じらんない!


 普通はこういう場合、おためごかしでも、僕も香さんのこと好きです
とかなんとか、言うもんでしょうに。

 結婚するというのに、相手から好かれていることに安堵を覚え、喜び
そのまま結婚を受け入れる人。

 すれてないというか、なんというか。 ヤレヤレ。

 香は少し神谷に呆れてしまったけれど、こういうところも意外と
嫌いではなかった。

 
 

 
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