80.☑
" I'm divorced 独身だよ "
「実はわたくし、、数日前に独身に戻りました」
「げっ・・」
「で、私ったら健気にも神谷家の近くに越してきちゃいました」
「えっ、なんで? 僕たちの為・・とか? のわけないよね? 」
「たくさんお世話したいからに決まってるじゃないですかぁ~」
「うっわぁー、そんなの僕困りますよ、困ります。
僕なんかの為に君の残りの人生を捧げさすなんて、責任取れませんよー」
「あのー、別に奥さんにしてくれって言ってるわけでもないし、神谷さんの
為っていうより、芽衣ちゃんたちの為ですからぁー、お気になさらないで
くださいなー! 」
朝から俺たちは久しぶりに会うなり、叫び合い・・言い合い合戦を
始めた。
こんなにうれしい叫び合いは生まれて初めてだった。
しかし、どこまでがほんとの話なんだろう。
独身に戻りましたって・・ン? リコン?
やっぱり既婚者だったんだな。
まさか、ほんとに俺たちの世話焼く為に離婚ってことはないよな?
俺に惚れてる? わけないよなぁ~。
まぁ、子供たちに惚れてるのは分かるけどさ。
「神谷さん、私の言ってること、あんまり信じてないですよね? 」
「うへっ・・そんなことは・・まぁ、思ってるね」
「朝ごはん食べ終えたら、私の家へご招待しますわ」
「はぁ・・」
「なんですか、その返事。
うれしくないんですか?
私の家へ行くこと。
折角ランチご馳走しようと思ってるのに」
80-2.☑
「それはそれは、ありがとーございます」(棒読)
「なぁに、ふざけた言い方をして。
子供みたい」
いやいやいや、家に招待だなんて急に誘われても。
なんて返事すればいいのか困るんだよ。
急に言い出すんだからさ。
心の中で文句たれたけど、流石に口に出しては言えなかった。
食事の後、片づけを終えると香さんがこなれた物言いで、子供たちに
号令をかけた。
俺たちがちゃっちゃと外出できるように。
「みんなぁ~、これから香ちゃん家に行くわよぉ~。
好きな玩具《おもちゃ》何個か持ってってねー」
そう言うと、3人それぞれに玩具を選ばせて、テキパキとゴミ袋に
放り込んだ。
気がつくと自分の出番はほとんどなかった。
余分に止められる駐車場がないということで、彼女の車に乗っけて
もらって行った。
車で彼女の家に向かう道すがら、彼女が言った。
「小さな台所と1部屋しかないから、驚かないでねぇ~」
「それだとあまり荷物置けないでしょ?」
「そうなんです。だから今のところ余分な荷物は実家に置いた
ままにしてあるんですよ」
そんな会話をしているうち、あっという間に香さんの家に
着いた。
よろしければポチ、宜しくお願いいたします。
書く励みになります。