この時期、受験生が突然、
「勉強したくないので、入れる学校でいいです」
と言い出すことがあります。
昔の私は、その言葉をまにうけて、
「大変だ…なんとかやる気を出させなきゃ…」と一晩悩んでしまい、私のほうが眠れなくなっていたくらいです。
でも今では、そんなときはあえて放っておくことにしています。
すると不思議なことに、ほとんどの子どもたちは、いつの間にかやる気を取り戻すのです。
早い子で1週間、遅くても1ヶ月ほどでしょうか。
「えっ、この前、勉強はもういいって言ってなかったっけ⁈」なんてことは生徒には言いません。
ここだけの話ですが、保護者から「うちの子のやる気を出させてください」とお願いされたときも、
もちろん「わかりました」とお答えしますが、実際には特別なことはしません。
やる気は、無理に出させようとして出るものではありませんし、もし強引に働きかければ、かえって関係が悪化してしまいます。
「人の気持ちを変えようなんて、大それたことはできない」
というのが、いまの私の結論です。
どうにかしようとすればするほど、状況は悪くなるとさえ思っています。
一見、無責任に見えるかもしれませんが、ほとんどの子どもたちはやがて自分で立ち上がり、希望の学校へと進んでいきます。
ですから、保護者の皆さまも少し肩の力を抜いて、お子さまを信じて見守ってあげてください。
「秋の空」と同じで、生徒の心もコロコロ変わりますけど、晴れ間は必ずのぞいてきますから。
そんなふうに、私は今日も教室で、空模様をながめるように生徒たちを見守っています。