福岡の実家は中洲と目と鼻の先にあって街の賑やかさ、そして怪しい喧騒が夜の街に潜んでいた。


稀に母が何かの用事で親戚の瓦町に行く時、ついて行くとそこには、ネオンの毳毳しい明るさ、タクシーのクラクションとその通り過ぎて行く音、酔っ払い、路上の露店、浮浪者の姿があった。

そこをモノともせずにズンズンと歩いて行く母を時々を思い出す。


夜の中洲は少し中心から離れると途端に暗くて、足下も見えなくておぼつかなくなる

狭い路地を通りながら小さな看板のうす灯りを遠目でみていると胸の奥を抉られるような寂しさがどこからともなく伝わって来た。


ときおり夜ひとりでいるとその孤独の感情がやってくる。