三月の菜種梅雨に凍えている


あんなにも雨音を恋しがっていたのに

夜中の雨にひんやりとした気持ちになる


横たえる身体にしんみりと怜気を

走らせる


そんな雨音を暗闇のなか聞いていた


時計を見ると4時前

凍える季節を恨めしく思い返せば

今まで経験した事のない温暖な早春の後だったから


恋人の連絡を待ち続ける若い頃のように

どこか落ち着かない日々


過去にも未来にも行けない


そんな心


あやふやな日常も


春の陽光に照らされて


あの路地にはっとするような

ものが現れるかもしれないと浮かれていた


あなたの居ない町で


冷たい春の風に吹かれて

呼ぶ声に耳を傾けてみる