知っているのであれば

冷たい地面に頬を埋めて

泣いたりしない

こんなにも暖かな思いになるなんて


遠雷の響きが心の奥底まで届き

あなたの横顔が目の前に表れてくる

死の意味を問うて来た若気が

早春の風と共に去って行った


あんなに涙を流して来たのに

この懐かしさは何だろうか?

思いの丈を叫んだとしても

この想いを伝えることは出来はしない


参道から外れた表通りを

歩いていたあの頃のあなたの思いが

また私の心に焼け付くように迫ってくる

もう苦しまなくても

悲しなくてもいい

ありのままのあなたは

あの時やはりそれはどれもあなたの

たったひとつのかけがえのない時間

誰にも知ることの出来ない貴重な「今」

を生きていた証


悲しみは悲しみではなく

苦しみは苦しみでなく

あなたの心に暖かな時を継ぐむ一編の詩


向日葵の鮮やかな黄色の中で

心がざわめいて

その美しさを持て余していた時はもう過ぎてしまった


川から河へと緩やかに流れて

やがて海に帰るように

あなたの心は安らぎを得てゆくのです