向こう水の河の中

きらびやかな光だけを頼りに

手を伸ばす

触れるものは

水、泡、抵抗


耳に聞こえるのは、地上とは別の世界のもの


ものの数分で生き絶えてしまう


光の中にトキメキが止まらず

このまま死を迎えてもいいと

生は願う


死すことで何か得ようと

心が騒めいて、前に前にと叫び始める

それは雄叫びに近い


それでも数メートルしか進んでいない

バシャバシャと水面は音を立てて

派手に水飛沫を上げているだけのように見える


もうそろそろ息絶える時間なのかもしれない


あたらしい世界


「今」の概念では存在しない目に見えない世界が水を避けた瞬間に掴めとれるというのだろうか?


水の抵抗はさらに続くしかないようにしか思えないというのに


死を超え

「今」の刹那の中心が世界を創り始めるとそんなことばが頭を霞める