藍より青く 山田太一

小説です。テレビでは1972年に放送されました。(と書きならもこれは調べたら分かった事ですが…)

本の感想にもならない。
昔の話しです。
独り言のように本の事を思い出したので書いてみています。

調べものがあって図書館に行くと山田太一の小説があって見ると「藍より青く」とあります。
山田太一の小説はほとんど読んでいたつもりなのにこれは知らなかった…。
飛びつくように立ち読みしそれから直ぐに借りて読んだ。あれも夏の頃だったと思います。
主人公の真紀の生き様や山田太一の感性にどっぷりハマって読んでいるあの時の季節や街の風景が色濃く自分の中に刻まれている。
大戦の中で刻々と変わっていく環境と事情、それでも人を想う気持ちは変わらず貫こうとする…、戦争で夫を失いながら周りの環境から抜け出して生きていこうとする真紀の気持ちが私の心に洪水のように入って来て深い跡を付けていく…。その奥にある山田太一の真意が伝わって来て深く感動しました。

主人公、真紀の聡明さは山田太一そのもののようです。

憧れるけどなれない…。
山田太一さんの物事に対する深い洞察と聡明な視線に時折、どうしょうもない気持ちになってしまう…。

大戦後、それから高度成長期に突入していくわけですが残されたものが時代の豪流の中で懸命に生き抜く姿があって、その中に大戦で夫を亡くした未亡人もあり、当時の偏見等の中、心の光を放つように生きていた女性が描かれています。

その強さ美しさに心惹かれて切ない気持ちが続いた1996年の夏でした。