生まれて

何年も

夜空を見ている




仕事を終えて

いつものように

車庫に車を入れて

車に鍵を掛けて歩き出す



家の門に入る前の

数歩の距離を

月の明かりが照らしている




もう何年もこうしているのに

まるで初めてのような月の明かり

何十年と

この大地を照らしながら

月はなにを想うのか




私は

相変わらず

元気のない顔で

月を見上げてる




もう何十年と

こうしているのに

なにもかわらない自分の姿を


月はなんの躊躇もなく

あかあかと

我が身を照らすのだ




明日、朝が来て

月がその姿を消して

昨日とかわらない自分の姿を


鏡に映すとき

寝癖のついた

髪の毛のさきに

昨日までの

月の破片が残っている