「対岸の彼女」角田光代さん

 

accoさんからのコメントで探して読んだ本。

 

 

学校生活から上手く立ち回れない少女から子供を持つ大人へと成長していくも

「親」という立場、「妻」という立場の中で翻弄に近い形で流れていく時間。自分の子供の一つの行動を見てもまるで自分の内面をさらけ出されるようなものばかりで今まで自分の「負の部分」としてあったものが子供によってまざまざを見せられてしまう・・・。

大人になったとしても少しも変わらない自分の内面。ただ外的な環境が変わり、その時その時のカテゴリーのルールを守ろうとしてくもうまくいかない・・・。

なにが悪いのか、なにが良いのかも分からない

なのにあの「女社長」は上手く立ち回っている、なのにあの子「ナナコ」は上手く立ち回っているという不思議・・・。

あんなに恐れてこっちは慎重に生きているのにあの姿は一体なんなのか?

 

二人の女性の内面から「葵」を通じて三人の少女の内面が浮き彫りになっていき、破ろうとしても破れない現実を目の前にしながらも他者としての友人を通じて「この子」、「この人」とだったら「何でも出来そうな気」がする・・・・。

 

そうしながらも結末はすぐにきてしまう。

 

あんなに分かり合えたと思っていた他者がちょっとしたことで遠くへいってしまう現実。

 

外的には離れ離れになりながらもある時ふっとした瞬間に「ナナコ」の気持ちが手に取るように理解できる、「女社長」の気持ちが分かるような気がする。

 

この本を読みながら別の場所で別の問題を抱えながらもそこに普遍性が生まれてそこを越えていこうとしたものに対する共感のようなものを感じました。

 

 

 

あの岸辺にじゃれ合うように話す二人の少女のシーンがとても心に残る本でした。

 

 

 

あんなに多感な少女はどこに行ってしまったのか?

繊細な心で繊細なものを必死で守ていった少女は「今」どこでなにをしているのだろうか?