雨の日は
あなたに逢いに行く
博多から天神
天神から赤坂

赤坂の坂を登り、細い道を登ったり
降ったりしながら

あなたに逢いに行く

夜の街並みは、雨のアスファルトに
車のテールランプやネオンが反射して
とても綺麗

あなたの吐息が
バスの窓を曇らして

握る手を思わず、強してしまう

もう何年も
あなたの横顔を忘れていた

どんなふうに笑っていたのかも
どんなふうに怒っていたのかも

二人で行った教会で
静かに祈ったあの時

同じ椅子に座りながらも
そっとあなたは席を外して
静かに私を見ていた

あの時の
あなたの眼差しを雨の日に
ふっと思い出す


あの時、不思議な気持ちで
あなたを見返した

あの静かで
私たちしか居ない
教会

あの時なんでもない
一場面が今こうして
私の胸を締め付ける

もう遥か昔で
あなたのこころには
微かな影すらない

そんな天神の教会のひと時が
切なく雨の中に浮かび上がる


雨の音があなたの足音に聞こえ

雨の音があなたの声に聞こえ

雨があなたのこころを隠しているのでは
ないかと

しとしと降る雨の中を

傘もささずに飛び出し

雨にぬれながらあなたを探してしまう