小学生の頃、葉書を書いた。
郵便で配達されることで、わたしと友人が繋がっていく。それがなんだか面白いシステムのような気がして、そのような内容のことを葉書に書いた。

後日、友人二人はその葉書を見て、誤字脱字だらけで何を書いているのか分からないと笑いものにし、大いにわたしを馬鹿にした。

そうか……。
「繋がる」という不思議な仕組みが面白いと思って書いたのだけれど、彼らには奇天烈な内容に見えたのだと悟った。
そして、感情が先に立つわたしの文章には、いつもどこか常識的なものが抜け落ちてしまうのだということも理解した。

昔の家には両親と祖母、そして兄妹六人、わたしを入れて九人で暮らしていた。
部屋は三つだけだった。

広間と四畳半、そして六畳の間があり、その六畳の間は父親の部屋として使われていた。
といっても、どれも共同部屋のようなものだった。

ある晩、ふと気づくと、大部屋では父がテレビを見ている。
その片隅では長女や長男が、それぞれ別のことをしている。

父の部屋には次男の勉強机があり、そこでも次男が照明をつけて何かをしている。

そして四畳半の部屋では、母、祖母、次女、三女、わたしが、それぞれ何かをしていた。

家の中には廊下があり、それぞれの部屋へと繋がっていた。
それぞれの部屋にはそれぞれの空間があり、それぞれの音がしていた。

わたしはトイレに立ち、ふとその音たちに気づいた。
そして、それぞれの独立した灯りを見たとき、意図しない生活の歓喜のようなものを感じた。

ワクワクするような楽しさ。
それぞれの空間にそれぞれの世界があるということの面白さ。
そして、人としての幸福を、なぜか感じてしまった。

その時のような、落ち着いた生活感のある賑やかな家の雰囲気が、また来ないかなと、いつしか夢見るようになった。

しかし、次男や次女は結婚や仕事で実家を出ていった。
すると、前のようなそれぞれの灯りも、いつしか無くなってしまった……。

時々夢を見る。
それぞれの場所で、それぞれの営みを熱心にしている家族の姿を。

何の夢なのか。
何の希望なのか。
わたしにもよく分からない。

しかし、あの時ふっと感じた幸福を思い出すように、心に浮かべている。
そしてそれを、憧憬として見ている自分がいる。

パパリポパラ
パパリポパラ 
あなたの居る世界

ここにもあるあなたの灯りが
わたしの心に届く時

心はパパリポパラ
踊る心と
静かで誰もいない部屋

それでもあなたを想いだけで
心はひとりでににぎやかになる

あなたのことも
わたしのことも

現実を置き去りにして
心は踊り出す






日本のバブル真っ只中の時に銀行マンとして働いていた齋藤さんは銀行をはじめ、日本の浮かれた状況に危機感を覚え、この仕組みの崩壊がいずれは来るであろうと考え、更にその上でその時に始末の受け口が日本にない事を知り愕然する。

しかし、周りの銀行の先輩もその事に対して何の疑問も持たないままでいる。気づいた齋藤さんのほうが疑われてしまう。

「この発展と繁栄の時に何を言ってるんだ!?」となる。


それで意を決してアメリカへと渡られるのですが、あの当時銀行マンといえば人も羨むほどのものでそれを捨てて単身アメリカに渡られたのはそれだけでその先見の明の鋭さどころか聡明な着眼に脱帽である。

しかし、その背景には高度成長期のなか一個人の問題など目を向けていられない社会風性で齋藤さん自身もマイノリティの心を抱えて人知れず悩んでおられた。

その悩みが齋藤さんのモラルよりも物事の深層を見つめる心を育まれたのではないかと個人的には思う。


アメリカで学ばれそのままアメリカで会社を立ち上げ投資コンサルタントとして10年以上業績を上げてこられたのである。


どこかの大学教授が書いた本で「世界の秩序がかわる時」の題名ならば読まなかった…。

しかし、そうではなく一般の投資コンサルタントとなれば話しは違う。

実際にアメリカで世界の情勢を見ながら世界を轟かせる投資家たちに助言としてその投資先をコンサルして来たというのはあまりにも凄すぎる。


その齋藤さんが本を書こうととした動機もとても良い。

会う日本人、会う日本人がこれからの日本に対して希望を持っておらず、行く末を憂いている…。齋藤さんにしてみればこれから世界が変わるんだよ、そして、その理由もハッキリしていると言いたい、そして気を落としている場合じゃないこの波に乗るかそるかの時なのに!そしてそのチャンスは大きいと静かなエールを送っておられる。

そのために書かれた本である。

理論整然、そして歴史を持ち入りながらその視線は落ち着いた着眼でした。

「失われた30年」の齋藤さんの解釈もとても良い。

そんな見方をした人、経済学者でも見たことない。


あまりにも面白さに、大学生の娘に薦め、会社の人に薦め、会う人会う人めちゃくちゃ面白いしすごいから読んでみてと鼻息荒く薦めて呆れられています。


もう一度読もうと思ったけれどどうしても他の人に読んで欲しくて上げてしまった。

もう一回買って読もうかなと思っている。