AKBのヒット曲「恋するフォーチュンクッキー」。皆さんも聞いたことがあると思います。
この間の授業で、教科書に"Alfred Nobel left his fortune to create the Nobel Prizes"(ノーベルはノーベル賞を創設するために彼の遺産を残した)(VISTA English CommunicationⅡ Lesson4 pp.33より引用)という文が出てきました。
フォーチュンは生徒も知っているけれど、何で「財産・遺産」という意味なんだろう?
フォーチュンクッキーって「財産のクッキー?」生徒は不思議そうにしていました。
そもそも、フォーチュンクッキーというのは、運勢が書いてある紙が入っているクッキーのことでアメリカ全土の中華料理屋などで、食後に提供されることが多いよう。
実はこのフォーチュンクッキー、日本では見たことがないのですが、日本発の文化ということです。
もともと新年のお祝いで日本の北陸地方の神社で配られていた辻占煎餅に由来するもの。
それが、庭師の萩原真がアメリカに持ち出して普及したそう。
それはさておき、ここで英語の問題。
フォーチュンクッキー(fortune cookies)の"フォーチュン”の意味は?
そう、「運」って意味ですよね!
そこで、語源を調べてみると、もともとは「運命の女神」のことで、「運」というのが原義。
「運」っていうのは、「運が良いね」とか「運が悪いね」とかというように、「偶然おこること」を表して良いことにも悪いことにも使う中立的な単語。
ところが、のちに、「運」の「良い運」の部分に限定された使い方もされるようになる(シネクドキーといいます)。
さらに、社会全体の資本主義化によって言葉にも経済的な意味が加わっていきます(the monetarization of vocabulary) 。「幸運によってもたらされるもの」とは何でしょう?そう、「財産」とか「富」ですね。
こうして、「運」という意味だった単語が「財産・富」といった意味にまで意味を拡張させていきます。
単語の意味の獲得過程は調べてみると、いろんな発見があって面白いですね。