closeの発音を考えてみましょう。〔クロウス〕ですか?〔クロウズ〕ですか?
実は、どちらもあります。が、発音の仕方で意味を区別します。
このように、同じ綴り字で異なった語を区別する語のことを同綴異音異義語といいます。
 
日本語は「サケ」といっても、発音で区別する以外に、書き言葉では「酒」と「鮭」というように漢字で区別するという手段がありますが、英語では発音のみで区別します(文脈からもわかりますが)
 
では、closeから。
①〔クロウス〕の発音→「近い」
②〔クロウズ〕の発音→「~を閉める」
 
実はこの2つの語義には深い関係があります。
②の意味がもともとの意味で、千年後くらいに①の意味が出てきました。
「何かと何かを閉める」とどうなりますか?
 
そう、2つのものが「近い」状態になりますよね。
「2つのものが閉められた時の状態」にフォーカスが当たって(メトニミーといいますが)、できた意味です。
 
 
では、次にliveという単語。
①[ライブ〕→生きる
②[リブ] →住む
 
この2つには語源的なつながりはなく、たまたまスペルが一緒になっただけのものです。
①はaliveのa-が消失した形です。
 
tearという単語は、
[ティア] →涙
[テア] →~を引き裂く
と違う意味です。語源も違って、もともと違った語からきたものがたまたま一緒になっただけというものです。
 
windという単語は、
[ウィンド] →風
[ワインド] →~を巻く
という意味ですが、これも語源的な関連はありません。
 
minuteという単語は、
①[ミニット] →分
②[マイニュート] →きわめて小さい
という意味です。
①はラテン語minutus(小さくした)が語源、②はラテン語minuere(より小さくする)が語源です。
なので、語源的な関連性はありそうですね。「小さくしたもの」は単位になれば、「分」になりますよね。
 
addressのような単語は名詞と動詞でアクセントの位置を区別することが多い単語です。
こうした単語は「名前動後」といって、名詞の時は前にアクセント、動詞のときは後ろにアクセントというように習うことが多いようです。
addressは「アドレス」とか「住所」とかが先に思い浮かびますが、「まっすぐにする・差し向ける」がもともとの意味です。そこから、言葉を差し向けることに焦点が当たると、「演説」という意味になりますね。オバマの就任演説は"Barak Obama Inaugural Address"と訳されていました。
そして、差し向けられた対象に焦点があたって、「住所」の意味が生まれました。(「住所」の初例は1888年になってからのことで、かなり後なんですね)
 
このように、語源的なつながりのあるもので意味が違うように見えるものは、意味の関連性を考えながら学習することが有意味な学習になります。ただ、意味のつながりのないものに関しては、こじつけで覚えるのは学問的にはあまりお勧めできませんね。いずれにせよ、単語学習の1つの手段として語源的なアプローチは「考える英語学習」として、意味のあるものになるのではないでしょうか。