ファミリーレストランにいくと、店員さんに注文して、よく、「ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」というのを耳にしたことがあります。
その話をある年配の言語関係の人に話をしたら、何で「過去形」にするんだ?と不快に感じるといっていましたが、これは「ポライトネス(丁寧表現)」の一種だと僕は感じています。
この表現を初めて耳にしたとき、直観的には「なんだか丁寧な感じがする」と思いました。
「丁寧表現」というのは相手との距離感を言語的に明示することで表現される傾向があります。
英語では窓を開けてほしいときに、
Can you open the window ?
って言ってもいいですが、
Could you open the window ?
のようにcanをcouldという過去形にすることで、今のことなのですが、過去の表現を用いて相手との距離感を持たせるという効果があります。
また、
I was wondering if you could open the window.
とするともっと丁寧さが増しますね。
英語では「過去形にする」というのが「距離感」を生み、「丁寧表現」に代用されるということがよくあります。
僕は「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」というのは「よろしいでしょうか」というより、客が「うっかり注文し忘れちゃった!ごめん、もう一つ注文して良い?」というような追加注文の余地を与えるようなやわらかい表現だなって思っています。日本語では「過去形」で「丁寧」にするという言語文化があまりないので、違和感を感じる人が多いのでしょうが、これを初めて使った人はインターナショナルな感覚を持った人なんじゃないかなって思います。