香港映画『破·地獄』 | 東京人在上海(上海の東京人)

先日、『旅立ちのラストダンス』こと『破·地獄(The Last Dance)』を見てきました。

マイケル・ホイ(許冠文)と言えば、私の世代はミスター・ブーです。

映画を見終わったあと、懐かしくていろいろ調べていたら、こんな記事を見つけました。

 

 

マイケル・ホイ(許冠文)は香港中文大学の卒業生、弟のサミュエル・ホイ(許冠傑)は香港大学の卒業生で超エリート!

そして、兄弟の名前を合わせると「文武英傑」になるのだとか。

私は愛嬌のあるドジ役のリッキー・ホイ(許冠英)が好きでした。

重いテーマの映画ですが、時々くすっと笑ってしまうのは、マイケル・ホイの存在があるからですかね。

 

ウェディングプランナーの会社を経営していた中年男がコロナで会社を潰してしまい、生活のために恋人の叔父から葬儀会社を引き継ぎ、慣れない仕事に奮闘しながら、成長していく。

人はいくつになっても成長できるし、変われるということが描かれています。


マイケル・ホイは主人公の仕事上のパートナーで、葬儀で「破地獄」という儀式を行う道士。

日本だと、葬儀会社と読経をお願いするお坊さんの関係といったところでしょうか。

 

私は香港に3年弱住んでいましたが、

紅磡と言えば、大陸へ向かうKCRの駅や

コンサートが行われる体育館のイメージで、

この映画を見るまで紅磡に葬儀場あることや

葬儀会社が集中していることを知りませんでした。

ラストシーンは紅磡の萬國殯儀館の空撮から

主人公が運転する車が香港海底トンネル

(Cross-Harbour Tunnel)を通って

香港島サイドに向かうところで終わっていました。

 

 

映画を見たあと、この映画の大きなテーマである華人の宗教について、調べたことを備忘録としてまとめておこうと思います。

 

私は香港で仏教徒やキリスト教徒の知り合いはいましたが、「道教を信じています」、という人に

会ったことがありません。

私の勝手なイメージかもしれませんが、道教は宗教というよりも現世利益を得るための風習という感じ?

 

そもそも「破地獄」の起源は「目連救母」という仏教説話なんですよね。

 

 

「目連」というのは、お釈迦様の弟子の名前でMahāmaudgalyāyanaの音写である「摩訶目犍連」の略。

目連尊者が地獄に落ちた母親を救いに行く話はお盆の起源ともなっており、中華圏では誰もが知っているお話で、「目連戯」という中国戯曲の祖と呼ばれる戯曲の元ネタでもあります。

 

道教は中国の三大宗教(儒教・仏教・道教)の一つで、老子の思想を根本とし、外来の仏教とは別物とされていますが、香港や台湾、東南アジアの華僑の間で信じられている道教は、仏教の内容が入り混じった現世利益の民間信仰という感じがします。 

 

儒教・仏教・道教の三つの教えを一つに結びつける「三教合流」という考え方があるように、

華人にはそれぞれの宗教のいいとこどりをする柔軟性があると思います。


アン・リー監督の『ライフ・オブ・パイ』の主人公も多宗教でしたね。

https://zh.wikipedia.org/zh-cn/%E4%B8%89%E6%95%99%E5%90%88%E6%B5%81

 

私のイメージでは、日本人は死んだあと、成仏を願いますが、華人の考え方はもっと複雑なようです。『地蔵菩薩本願経』によると、人は死ぬと49日間、生前の行いを閻魔様に裁かれるのだそうです。善人は来世に生まれ変われるが、悪人は地獄で苦しみ続け、遺族が盛大に法要を行い、手厚く葬むることで、やっと天国に行けて、生まれ変われる。「破地獄」もその考えに基づいた儀式です。

 

映画の中で幼い子を亡くした母親が土葬も火葬も拒み、「義荘」に遺体を安置することを選びます。「義荘」は本来、一族の互助組織で学校、田、祠堂などの施設が含まれていましたが、

後世になり「遺体安置所」の意味となりました。

 

https://www.wikiwand.com/ja/%E7%BE%A9%E8%8D%98

 


 追記:

今、銀河で放送中の法医学をテーマにした『朝雪録』でも「義荘」は検視を行う遺体安置所として

描かれています。