小学生の頃。
ボクの姉は、鼓笛隊に入っていた。
音楽を奏でながら、町を行進する集団だ。
姉はその鼓笛隊の中で、小太鼓をドンドコ叩く役割を担っていた。
そして驚いたことに彼女は、学校の小太鼓を家に持って帰って来て叩き出した。
レッスンだ!!
家の中で鳴り響くドンドコドンは、正直うるさかった。
どうしてだろう。
音楽全体の中に調和するドンドコドンは、心地よいのに。
我が家で鳴り響く、姉の巨大なドンドコドンは本当にやかましかった。
ところで昨年。
ボクは、電子ドラムを買った。
家でドラムの練習をしたいと思いついたからだ。
ただし、本物のドラムセットを買って叩いたら、子どもの頃の姉の小太鼓練習みたいにうるさがられる。それが目に見えていたからボクは、電子ドラムを買った。
ヘッドホンをして叩けば、「だいじょうぶい」。
そう信じて買った電子ドラムだったけど、実はこれでも十分やかましいことが、購入後に判明した。
ゴム状のドラムを叩く。
バスドラを踏む。
ハイハットを踏む。その一連の動作がもたらす音は、悲しいくらいうるさかった。
特にバスドラのペダルを踏むたびに、床に響く振動は。
階下に生息する住民たちに対し、多大なる生活環境の悪化をもたらした。
というわけで、残念ながらドラムの練習は休日の真昼間にしかできないことが判明した。
せっかく「電子」にしたのに、やっぱりドンドコドンは家の中ではやかましいということがこの歳になって。
ようやくわかったというお話でした。