BGM:中央フリーウエイ ハイファイセット
http://www.youtube.com/watch?v=X2lUWOI9Dyo
大学1年生のボクらにとって、車を持つなんてことは、夢のまた夢のお話だった。
でも・・・。
熊本県玉名クンのおかげで、いままさにその夢が現実のものへと近づいていた。
ボクらも車がもてる。そして、おなごにもてる。
う~む、うっとり。
中古車屋さんの店員さんに声をかけよう。
誰かれともなく、そう言った。
でも、ボクらはシャイだから、なかなか店員さんのところまで辿り着けなかった。
そしてボクらは自然と玉名クンを先頭に、大船渡クン、GINの順で列を縦に作ってた。
最後尾のGINが大船渡クンを押す。すると大船渡クンがそれに押されて最前列の玉名クンを前方に押し出す。
でも・・・、玉名クンは顔を赤くしてなかなか前に進まなかった。
そんな時間が続いた。
膠着状態の中、玉名クンが言った。
「おい、あの人になんて言えばいいですたい?」
大船渡クンが即座に答えた。
「このぐるま3台くだせって言えばいいんでねーが。」
GINが言う。
「でも、ボク免許持ってないじょ。」
「えっ?」他の二人が目をパチクリする。「おい、それ本当かよ。お前なんで免許もってないんだよ。」
「だって・・・。自動車学校行ってねぇずら。」
「はぁ~っ?お前、なんでそれを今言う?」
すったもんだが続き、なかなか前に進まない3バカ大将。
行きつ戻りつを繰り返し、もじもじしている3バカ大将の一列歩行に、中古車屋さんの店員さんが気づき、彼の方からボクらに近づいてきた。
大船渡クン。「おい、あの人、こっち来るぞ。どうする。」
GIN。「逃げるか・・・。」
もがきうごめく3バカ大将。
ほどなくそんな3人に近づいてきた店員さんは、優しく穏やかに声をかけてきた。
「お車のご購入でいらしたのですか。」
玉名クンが答える。
「そうです。ご購入にきましたですたい。」
そして彼は、スバル360を指差し、こう続けた。
「これを3台ください。ただし、この一番後ろの人は運転免許証を持っていないですたい。」
店員さんは、困った顔をした。
これから、この大学生に車購入のために必要な知識とシステムと膨大な手続きの話をしなければならない。
彼の顔は・・・、見ようによっては。「やれやれ」なお顔だったずら・・・。