半沢直樹、最終回。

最後に、半沢直樹の処遇を聞いたとき。

リアリティを強く感じた。

彼は・・・。

頭取と常務の派閥争いに巻き込まれた。その時点で、どう転んでももはや、彼に未来はなかったのだ。

どんなに頑張っても、半沢直樹は、トカゲの尻尾として切られて終わる。

ボクはずっとそう思ってた。

どんなに、正しくても。

どんなに、業績をあげても。そんなの関係ない。

組織の上に立つ人間にとって大切なことは、「正義」や「功績」なんかじゃない。

大切なことは、己を守り、組織を守ることなのだ。

半沢直樹は、最後の最後まで歯車だった。

右手掌にネジを強く握りしめた彼の立場は、最後の最後まで歯車だったのだ。


若林で見た空-image


近現代史を勉強していて。

同じような事件がたくさんあったような気がする。

個人の正義の多くは、組織にがぶ飲みされる。

昭和の事件の多くにそれを見てきたような気がする。


村上春樹さんが、エルサレム賞受賞の時に語った言葉。

「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」。

を、思い出した。そして・・・。

組織というシステムを、作り上げるのもまた「個人」であり、人間であることを。

ボクは忘れてはならないと思う。そう。

組織は、ボクらを守り、ボクらを壊す。

そんなことを今夜はまた、半沢直樹を見て、じっくりと考え直させられた。

最終回。彼がトカゲの尻尾になったストーリーに、このドラマの真の価値を感じた。