ちっちゃい頃。
転んで泣いて帰ると。
母親が傷口に薄めたオキシドールを塗ってくれた。
しみてまた泣いた・・・。
なぜだろう。
匂いの記憶はなかなか消えない。
剣道をしていた頃。
竹刀の柄に匂いがあった。独特な・・・、クレヨンのような匂い。
それをはっきり覚えている。
理科室は、酢酸の匂いがした。
お寿司屋さんとちょっと似た匂い。
それも、心に深く残ってる。
今日。
他界した母を迎えた。
「もう、転んでも。自分で薬を塗れるようになったよ」。
だってもうボクはオヤジだから。
そう思いながら。
今日。母の香りを思い出していた・・・。