シーン7(最終回) ボクらは母校の校歌を熱唱した

BGM いとしのエリー

http://www.youtube.com/watch?v=3YwBZ0HWupo


「皆さんの中に、ラッパが吹ける人はいませんか?」

大学の学生食堂で昼飯を食べていると、野球部部員がトランペットを持って飛び込んできた。

「今日は、吹奏楽部が全国大会で出かけていて、コンバットマーチを吹く人がいません。誰か手伝ってください。」

必死な呼びかけに呼応するように、「いいよ、オレ吹けるよ。」とあちこちで手があがった。

野球部部員は走って近寄り、「お願いします」と頭を下げて、トランペットを渡した。

「皆さん、今日は午後から試合です。神宮に来てください。」

続けて野球部部員の声が、学生食堂全体に響き渡る。

そんな時は、授業をみんな休んで神宮に出かけた。

教授もわかってる。

大切な試合の日に授業に行くと、「今日は授業はやらない。神宮に行け。」と言われたこともある。


若林で見た空


神宮球場に行くときは、新聞紙や週刊誌を持って行った。

試合中。それを手でちぎっては、紙袋に入れた。

紙吹雪用だ。

声を枯らして応援する横っちょで、ボクらはせっせせっせと紙吹雪を作りあげた。

そして・・・。

試合で勝つと、それが盛大に舞った。

一瞬前が見えなくなるくらい、ゴージャスな紙吹雪。

それを見ながら。

ボクらは母校の校歌を熱唱した。