成人式に向けて。

ボクは人生初めてのスーツを買ってもらった。

いわゆるリクルートスーツだ。

紺色の。何の変哲も無い、サラリーマンスーツに袖を通したとき。

まだ就職していない身なのに。少しだけ大人になった気がした。

これを着て、いつか仕事に就く日が来る。そう思うと、身が引き締まった。


若林で見た空


その日、買い物はそれで終わりだと思った。

でも、違った。

リクルートスーツを買った後。

父母はボクをもう一軒のお店に連れて行った。

そこは、ちゃんとしたスーツを仕立てる洋服屋だった。

そこで、ツイードのスーツをつくると言われた。

母が言った。

「遊びのスーツも持ちなさい。」

ツイードのスーツ。それは、カジュアルなスーツだった。

父が言った。「ツイードは、着古してこそ味が出る。」

そこで仕立ててもらったツイードのスーツは、最初に買ってもらったリクルートスーツの数倍の値段になった。

「成人式には、これを着ていくといいよ。」

母は言った。

そしてこう付け加えた。「男の子は、お洒落じゃないとだめだよ。」と。

靴も。時計も。スーツもきちんとしなさい。

そういう両親だった。

昔のオヤジとおふくろは。

子どもにそうした生き方まで教える親が多かったのかもしれない。

そして・・・。

ボクの部屋の箪笥には。

着古したツイードのスーツがちゃんと。

今でもつる下がっている。



*今週を乗り切れば、きちんとコメントとレスが返せる状態に戻れると思います。

それまでは、ボクは日記を書くだけ。来てくださった方々に本当に失礼なことをしてしまうけど。

それまで待っていてください。本当にごめんなさい・・・。