ボクが子どもの頃。

左利きはお行儀が悪いって言われてた。

左手でお箸を持つと、「是非直しなさい」と母親に言われた。

学校の先生にも、同じように言われた。

ボクはちっちゃな頃、左利きだったから左手でお箸を使って、左手で絵を描いていた。

でもそれは。

ちっちゃな頃に全て矯正させられた。


若林で見た空


なぜ、左利きはお行儀が悪いって昔の人は言ったのだろうか。

その理由が未だにわからない。

矯正されたボクの左手は次第に退化し、今では左手で文字や絵が描けなくなった。

でも、お箸は使える。子どもの時のままだ。

だから、左手でお箸を操り、右手で鉛筆を持って文字を書くなんてことは容易にできる。

でも、それこそお行儀が悪すぎるって皆から言われそうだから、人前では絶対にしない。

「私の彼は左きき」

麻丘めぐみさんはそう歌った。

ありがたいと思った。左利きに光が当たった。そう思った。

時が流れ。

最近では、子どもが左利きでも矯正するという親は少なくなったようだ。

だから、この頃多くの子供が左ききだ。

ボクの息子さんと娘さんは二人とも、ボクのDNAを受け継いで正しく左ききだ。

左手でお箸を持ち、左手で絵や文字を書く。

ボクはそれを矯正させなかったから、彼らは堂々と左ききのまま育った。

それも個性だって思うのだけど、彼らに聞くと不便なものがたくさんあると言う。

たとえばハサミ。

たとえばカメラ。

たとえばカッターナイフ。

左ききが多くなった現在。

どちらでも使えるようなユニバーサルデザインは、必須なアイテムとなった。