どうも子どもの味覚には適さない、大人の「お味」みたいなものが世の中には存在する。

たとえば、メロンだ。

子どもの頃、ボクはメロンが好きでなかった。

あの独特な甘さが、ちょっとやだった。

ナスもやだった。

あの食べると、クニャってなる食感が苦手だった。

それに比べて、ボクはなんだか数の子が好きだった。

食卓に数の子が並ぶと、ボクは飛びついた。

そして、カリカリ食べた。


若林で見た空


お正月になると、その時のことを思い出す。なぜボクは、あれほどまでに数の子を愛したのだろう・・・。

今思うと、不思議だけど。

口の中で、カリカリなるあの食感がたまらなかったのではないかって、今振り返るとそう思う。

お正月のおせち料理。

数の子は、一気になくなった。ボクがカリカリ食べるからだ。

そしてもう一つお気に入りは、ザーサイだった。

ザーサイが食卓に上ると、ボクはこれまた飛びついた。

そしてそれをカリカリ食べた。

う~む。今思うと、やっぱり食感だ。

ボクは、カリカリ系が好きだったのだ。

ところで・・・。

大人になると、アンキモがいいねだとか。

ウニがたまらないねぇだとか。

クニャっとしたものも受け入れられるようになる。

これもまた、不思議なお話だ。