澁澤龍彦「妖人奇人館」河出文庫 | サーシャのひとり言

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河出文庫から出ている澁澤龍彦さんの「妖人奇人館」。
サン・ジェルマン伯爵の項を読みたくてKindle版で購入しました。

お目当てのサン・ジェルマン伯爵の他にも、17、18世紀を中心に澁澤さん物差しでチョイスした妖人奇人が取り上げられています。
ルイ15世治世下の女装の密使シュヴァリエ・デオンやシルクハットにフロックコ ート 、それに襞飾りのある袖口から出た繊細な手には 、つねに象牙の握りのついた黒檀のステッキを握っていたという19世紀のダンディな犯罪詩人ラスネール、
「おじさま!」「クラリス!」ではなくて実在した錬金術師カリオストロ伯爵(例のマリー・アントワネットの首飾り事件にも巻き込まれたりの波乱万丈の人生。最後は妻に裏切られ、伯爵でも何でもなくて詐欺などの前科のあるパレルモ生まれの平民である事を暴露されサンタンジェロ城に幽閉され、狂乱のうちに餓死したとのこと)、
医学界のルターとも称され、医学史上はじめて 、水銀やアンチモン、亜鉛などの金属による療法を用いて成功した医師パラケルススなども取り上げられています。(パラケルススが著作の中に書き記したホムンクルスの製造法をのちにゲーテがファウストで用いたようですね)

そこそこ面白いのですが、どれも短編なので若干底が浅い気も。
肝心のサン・ジェルマン伯爵もサラッと流した内容でした。
そして見てきたように「風采の上がらない小男だった」なんて書かれるとガックリ。
やはり「不死の男性」は超絶イケメンでないと!ラブ