2016年夏北欧旅行-10 ヘルシンキ9 国立博物館 | サーシャのひとり言

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国立博物館


フィンランディアホールの斜め向かいにある国立博物館は、中世のお城や教会を思わせる重厚な外観の建物ですが、建てられたのは1905-1910と比較的近世です。



石造りの尖塔に掛けられた大きなポスターはガッレン=カッレラのサンポの奪還の一部分。


こちらの博物館でとにかく見たかったのはエントランスホールの天井に描かれたガッレン=カッレラのカレワラを描いたフレスコ画です。
圧巻!でした。



フレスコ画は4枚の場面から構成されており、
ワイナミョイネンがサンポを巡ってロウヒと戦う一番有名な場面



ワイナミョイネンが巨大魳を捕獲し、その下顎の骨からカンテラを作る場面



サンポ鋳造の場面



ポホヨラにいる婚約者に会いに行ったイルマリネンが、姑にあたるロウヒに「娘と結婚したければヘビの畑を耕すように」と命じられ困り果てるが、娘の指示で金銀の鋤を使いやり遂げる場面。



エントランスホールから中に入ると
様々な時代の調度品が展示されています。




そして、フィンランドの文化を扱うコーナーでは


詩人ルーネベリの像や




私財を投じてカレワラを編纂した医師リョンロットの像も。(カレワラの資料集めの為に僻地勤務を希望してしまうすごい人)



ガラスが光って分かりづらいですが、トゥオネラ河で息子の細断された遺体をかき集めるレンミンカイネンの母。(この後、レンミンカイネンは見事再生)


カンテレの展示



アルベルト・エーデルフェルトの「燃える村」
フィンランドは独立前はスウェーデンとロシアの2大大国に挟まれ、独立後は第二次世界大戦でナチス・ドイツ側に立ったため(フィンランド側は対ソ連の冬戦争の延長だと主張したが連合国側からは認められず)敗戦国となりロシアから多大な賠償金を要求されたり、また終戦間際ではフィンランドの降伏に激怒したヒトラーにラップランド焦土作戦を行われるなど、非常な辛酸を経て今に至りました。
フィンランドが枢軸国側だったことは最近まで知らなかったので、ちょっと意外でした。
確かにヴァンターの航空博物館でも羽にハーケンクロイツが書かれた戦闘機がたくさんありました。




階段の踊り場に設けられた休憩スペース。美しいステンドグラスと壁のニッチ、作り付けのベンチが絵のような曲面を構成しています。



展示物だけではなく建物自体のナショナルロマンティシズムも味わえる国立博物館、調度品好きの方にもおすすめです。